コラム

認知症について 2

認知症ケアの大切さについて、2つの考え方のうち1つを前回のコラムではご紹介しました。

今回はもう1つの考え方についてお話します。

 

前回ご紹介した1つ目は、「その方の気持ちや世界観に寄り添うこと。」でしたが、

今回の2つ目は、「社会や地域が認知症を前提として暮らすことができる街になる」こと。

 

ちょっと難しいでしょうか、

では、身近なものから考えてみましょう。      ↓

「新宿駅 看板」の画像検索結果

例えば、日本の駅の看板には、中国語やハングル語の表記が増えていますよね。

これはなぜでしょう?

きっと、これを必要とされる方が多いからですよね?

 

前回のコラムでお話した通り、認知症患者は増えていくことが予想されています。

それならば、認知症の方の生活に必要なモノや考え方を社会に増やしていけば、認知症の方でも暮らしやすくなるのではないでしょうか。

 

例えば、徘徊と言われる行動があります。認知症の方が「あてもなく歩き回る」事です。

これはどのように考えれば良いのでしょうか?

 

まず考えることは、なぜ歩き回るのか?ということです。

それはお一人お一人によって違います。

もしも「家に帰りたい」と思っているとしても、帰りたいと思っている「家」は、今の家なのか、子どもの頃に住んでいた家なのか。

だから、周囲の人にはわからなくても、歩いている本人には目的があります。歩いているうちに目的を忘れてしまい、道に迷い不安になってしまうのです。

だからその目的に寄り添うことで「あてもなく」歩くではなく、「意味を持たせることができる」と思います。

 

一部の福祉施設では施設内の壁を取り払うという動きがあります。

つまり、地域と施設の隔たりがなくなります。日ごろから地域の方と施設に入居している方が一緒に暮らしているようにできたら、顔見知りの方が暮らす地域を歩いているので、「散歩」している状態になると言えます。

あなたの近所に住むおじいさんが一人で散歩していたら『こんにちは』と声をかけますか?

それこそが、地域で高齢者を支える第一歩だといえるでしょう。

環境を変えることで地域全体が認知症と寄り添う対策です。

だからこそ日ごろの挨拶や施設や地域のお祭りで、交流する機会は重要なのですね。

 

地域の取り組み

これは、外出をどう止めるかではなく、住み慣れた地域で外出が続けられるように、当事者・家族・地域の方々・医療職・介護職・警察・行政などが連携して見守り支え合う仕組みです(ただいまプロジェクトHPより引用)

そうです。

既にそんな地域づくりが始まっています。

 

注文を間違える料理店

最近では「注文を間違える料理店」が話題となりました。

認知症の方がお店を運営するので受けた注文を忘れちゃったりするのですが、それを前提として、認知症の方が働ける仕組みを作れば良いというコンセプト。

 

このようにちょっとだけ視点を変えることで、認知症の方でも暮らしやすくすることができます。社会や地域の中で暮らす誰もが安心して暮らせるようにするには、まず、認知症を正しく理解することが重要でその後、地域と連携し、サポートしていく地域で支える介護が主流になるといえるでしょう。

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この記事を書いた人

高橋 利明 先生

大学で社会福祉士を学び、卒業後社会福祉士・介護福祉士として介護施設に勤務。学生時代は野球ばかりの生活を体験し、自ら教育の重要さを痛感し転身。現在介護福祉士科の責任者を務めると共に「日本の福祉現場力を高める研究大会」企画委員として活躍。

座右の銘:早寝、早起き!

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