コラム

スクールカウンセラーの仕事と働き方

今回は、「スクールカウンセラーの働き方」についてお伝えしようと思います。
「スクールカウンセラーの働き方」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?
多くの人のイメージは、「非常勤で働く心理師」「学校の中で働く心の専門家」といったようなことでしょうか?

将来、スクールカウンセラーになって学校現場で働きたいという人も少なくないと思います。
今回は、現役のスクールカウンセラーが、学校でどのようなことをしているのか、リアルな話をしたいと思います。

日本でスクールカウンセラーはどのくらいいるの?

公認心理師や臨床心理士を取得し、学校現場で働いているスクールカウンセラーは約3000人います。
教育分野で働く半分ぐらいの人は、スクールカウンセラーの仕事をしています(令和2年度厚生労働省の調査より)。
もしかすると自分の中学校にスクールカウンセラーさんがいたという人も多くいるのではないでしょうか。日本全国で働くことができる仕事です。

スクールカウンセラーが社会的に必要とされる時代になっている?

スクールカウンセラーは、平成13年度から全国の中学校に計画的に配置されるようになりました。
東京都は、平成15年度に公立中学校の全校配置、平成20年度から小学校に、平成23年度からは高等学校へと大幅に配置を拡大してきました。

この背景には、社会的に注目されたいじめの問題、小中学校で起きている様々な問題、そして、不登校児童生徒の増加など学校現場では先生だけでは対処できず、心の専門家(スクールカウンセラー)の助けが必要となってきました。

スクールカウンセラーになるには?

スクールカウンセラーとして働くには、「公認心理師もしくは臨床心理士の資格が必要です」という話は、どこでも聞いたことがあると思いますが、実はそうでない場合もあります!
意外と知られていませんが、スクールカウンセラーは、資格がなくても働けます!ただし、スクールカウンセラーではなく“相談員”となります。
とはいえ、公認心理師は大学院卒業しなければならないというハードルを考えるちょっと大変かもと思っている人にとっては、この話は朗報ですね。

“相談員”とは?

例えば、埼玉県では、さわやか相談員という方が学校現場で働いています。
採用基準には、学校教育に理解があり、子どもの悩みについて相談に応じることのできる方とあります。
また、千葉県の袖ケ浦市では心の相談員、市川市ではゆとろぎ相談員という方が働いています。
このように、スクールカウンセラーほどの専門的な知識や経験はないけれど、学校現場で、子どもたちの話に耳を傾けて力になりたいという方は、とてもやりがいのある仕事だと思います。

スクールカウンセラーは学校でどんなことをしているの?

私の場合ですが、だいたい8時少し前に学校に着くように行きます。
学校に着くと、今日の相談予約の生徒の様子や保護者からの相談内容について、先生方と情報共有します。
朝、先生方はとても忙しいため、1日6件とから7件の予約の相談があるときは、短い時間で多くの先生方と情報共有します。スクールカウンセラーも一気に頭をフル回転しながら情報をまとめます。

1時間目から相談室に予約した生徒や保護者が来室します。
記録をとりながら話を聴き、一緒により良い方向に向かうよう話し合いをします。
午前中3~4件のカウンセリングをし、12時半ごろにお昼休憩をとります。
学校の給食を食べることができ、楽しみの一つです。特に揚げパンは不動の人気メニューです。

午後になると、また、予約した方が来室し、カウンセリングは放課後まで続きます。
だいたい17時ごろまでカウンセリングをして、その後先生方と守秘義務を守りながら必要最低限の情報共有をします。
最後に記録をまとめ18時半ごろに学校を出ることが多いです。残業代がでないのが残念なところですが。

以上が、スクールカウンセラーの1日の仕事です。カウンセリングコンサルテーション(先生たちとの情報共有)がメインのお仕事内容となります。

スクールカウンセラーは1年中とても忙しい?

東京都では、各学校で1学期に小学5年生と中学1年生の全員を対象とし、スクールカウンセラーと個別もしくは集団面接をする全員面接という仕事があります。
これは、スクールカウンセラーとの距離を縮めたり、敷居を低くするために実施しています。
通常の相談と全員面接でこの時期はとても忙しくなっています。

そして、2学期は夏休みを境に不登校の児童生徒が増える時期で、不登校の児童生徒や保護者からの相談が増えます。

3学期は進路などの今後の不安を訴える児童生徒などもいて、約週1日という限られた日数の中、色々な相談を受けながら働いています。

スクールカウンセラーの働き方は?

皆さんの通っていた学校でスクールカウンセラーという方を見かけた記憶はありますか?
おそらく「あまり良く知らない」「時々見かけて挨拶したことがある」といった感じでしょうか。
東京都のスクールカウンセラーは週1回となっていますので、確かに「時々見かける人」だったと思います。

実は、スクールカウンセラーや相談員には色々な働き方があります!
先ほど紹介した埼玉県のさわやか相談員は週5回です。市川市のゆとろぎ相談員は週3回程度となっています。
また、文京区のスクールカウンセラーは週2回、千代田区のスクールカウンセラーは週1回、江東区のスクールカウンセラーは2週に1回4時間程度となっています。

このように色々な働き方をするスクールカウンセラーがいるので、自分自身がどのような頻度で仕事をしたいのかを考えながらスクールカウンセラーを目指せると良いのかもしれません。

スクールカウンセラーのお給料は?

スクールカウンセラーのお給料は、東京都で例えると、1日(7.45時間)44100円年間38回同じ学校に行きます。
38回なので、だいたい週1回となります。時給にすると6000円ぐらいなので、とても魅力的ですね。
実は、2023年度から1日のお給料が44000円から44100円になり、100円増えました!

そして、東京都のスクールカウンセラーは、最大一人3校まで受け持つことができます。ただ、1年目は1校までとなっているので、最大3校を持つことができるのは、ある程度経験がある人となります。

スクールカウンセラーは、会計年度任用職員という立場で1年ごとの契約となっているので、いわゆる非常勤職員です。
毎年度契約更新しながら、担当校を増やしていくといったイメージです。

スクールカウンセラーの仕事のやりがいは?

最近のニュースで、「東京都のスクールカウンセラー9割が職場にストレス」という記事がありました。
内容としては、「残業代が出ない」ことや「雇用が不安定」ということです。ただし、スクールカウンセラーの9割がやりがいを感じているという結果もありました。

公認心理師や臨床心理士は、こうした非常勤雇用で働いている人が4割ぐらいます。
この4割の人たちは、「希望する分野で常勤職がほとんどないこと」だけでなく、「自分の都合の良い時間で働きたい」、また「家事や育児や介護などと両立をしたい」という人が多く、非常勤ならではのメリットも感じているようです。
実際、スクールカウンセラーをやっていると、非常勤ならではのメリットを活かしつつ、雇用の不安定さなどのデメリットは別の仕事などで収入源を作ってカバーしているのが現状です。

スクールカウンセラーは掛け持ちしながら働いている?

ほとんどのスクールカウンセラーは非常勤で働いています。そのため複数校を掛け持つとか、別の仕事を掛け持つことをしている方がほとんどです。
掛け持ち先としては、医療分野や福祉分野が多いです。
少しお金の話もしながらリアルなイメージを掴んでもらいたいと思います。

パターン1

東京都スクールカウンセラー
週1回 一日44,100円(38回) 年間1,675,800円

練馬区心理教育相談員
週4回 月額240,09円 年間2,881,164円

合計 年間4,556,964円

パターン2

千葉市スクールカウンセラー
週1回 時給5,500円(280時間) 年間1,540,000円

千葉県スクールカウンセラー
週1回 時給5,300円(200時間) 年間1,060,000円

市川市ライフカウンセラー
週3回 時給2,400円(124日) 年間2,217,120円

合計 年間4,817,120円

パターン3

浦安市スクールライフカウンセラー
週4回 時給2,400円(156回) 年間2,574,000円

クリニック
週1回 日給18000円 年間864,000円

合計 年間3,438,000円

週5日でも色々な働き方があることを紹介いたしました。
また、年間のもらえるお金も勤務先でだいぶ差がありますね。

このように、スクールカウンセラーは自分の働きたいペースや働きたい場所を選べるし、より良い条件を自ら選べるといった点では良いのではないでしょうか。
ただ、しっかりとキャリアを積んでいかなければ採用されず、働きたい条件で働くことはできません。
つまり、しっかり勉強して、専門的な知識はもちろん、現場で実績を作っていく必要があるということです。

スクールカウンセラーになりたい人へ

スクールカウンセラーは学校という組織の中で、専門職として働いています。
学校の中で心理の専門職は一人なので、スクールカウンセラー自身の知識や経験はもちろん、先生方とのコミュニケーションがとても大切になります。
「自分は結構コミュ力ある!」という人や、「人の話をしっかり受け止めて聴くことができる!」という人は向いていると思います。

もちろん大変なことはあるけれども、それ以上に、児童生徒から「先生(スクールカウンセラー)のおかげで、自分は元気になれた」ということを聞けると、「あーこの仕事をやっていて良かった」と思える瞬間です!

ストレスもあるけれど、やりがいもある職業です。
現場で働いている先生からリアルな話を聞けるともっとたくさんの情報が聞けるかもしれません。ぜひ、一度、オープンキャンパスで話を聞きに来てくださいね。

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