コラム

作業療法士に向いている人・作業療法士に求められる能力

作業療法士の仕事は、病院などの医療機関や福祉施設、在宅、学校、就労などの場所で、患者やクライアントが生活の質を向上させ、日常生活の活動を達成できるように支援する非常に重要な役割を果たすものです。

しかし、前面に立って何かを主張するというよりは、患者や対象者に寄り添って陰でサポートするということがとても多い状態ではないかと思います。この職業に向いている人は、特定の性格特性や能力を備えていることが多いです。

以下に、作業療法士に向いているとされる性格や必要な能力などを詳しく説明します。

 

<個別の配慮と忍耐力>

作業療法士は、患者や対象者それぞれのニーズに合わせて作業療法実施計画を立て、それをタイミングよく実施する必要があります。そのため、いろいろな要因から患者の問題点を集めて検討するという個別の配慮と忍耐力が必要です。患者が様々な困難に直面すればするほど、時間とエネルギーをかけてサポートし、それを続けることが求められます。作業療法士には、あきらめない力と冷静な判断力も必要とされています。

<コミュニケーションスキル>

作業療法士は、患者や対象者とその家族、他の医療スタッフと効果的にコミュニケーションを取る必要があります。患者の状態を詳しく理解するためには、丁寧に状態を聞き出すコミュニケーションスキルが大切です。また、彼らに適切なアドバイスや指導を提供するためにも、相手の立場に立って相手が理解できる用語を用いて説明をするという優れたコミュニケーションスキルが必要です。日頃から友達や家族、バイト先の先輩など年代も多様な方々と話をする機会を設けて練習できる環境があるとよいと思います。作業療法士になると相手を選ぶことができませんので、どんな人とでも話ができること、それが苦手にならないことが大事です。

<科学的な知識と理解>

作業療法士は、解剖学、生理学、神経学、心理学などの科学的な知識を理解し、身体障害・精神障害などの患者の状態把握や治療計画を考えて実施する必要があります。これらの知識は3年あるいは4年かけて修得するものですが、知識の量も膨大であり、これらの内容をしっかりと習得することがまずは求められます。なぜなら、担当者の理解度によって患者の将来や方向性が変わってしまうこともあり得るからです。患者の機能障害や生活障害に対処するための選択肢をなるべく多くするためにも、科学的な知識と理解力は重要なものになってきます。また知識は使われて初めて活かされるものなので、単に覚えているというレベルでは不十分になります。しっかりと知識を覚えて理解して、活用できるレベルにまで高めていく努力が必要になります。

<創造性>

作業療法士は、患者が日常生活の活動を達成できるように、創造的な方法を模索することがあります。片麻痺になり身体の半分の自由が利かなくなった場合など、今までやってきた生活の方法では生活が難しくなってしまったことでも、創意工夫を行うことで、方法を変えてできるようになることもあります。基本的にはその対象者にカスタマイズされたリハビリテーション計画を作成し、新しいアプローチやツールを考案する必要があります。このように作業療法士は今、あるいはこれから起こる社会現象にもアンテナを張っておき、その対象者にカスタマイズできる方法を創造する能力が必要です。そのため、作業療法士自身の興味や活動の対象を広げるような生活態度を普段から持つことができれば、作業療法はやりやすくなるので、自分の楽しみを持てる人も、作業療法士に向いていると言えるかもしれません。

<チームプレイヤー>

医療環境では、患者のケアにおいて他の医療専門家と協力することが不可欠です。作業療法士は、医師、看護師、理学療法士などと連携し、総合的な治療計画を実施する必要があります。そのため、協力的でチームプレイを行うチームプレイヤーの資質が求められます。医療以外の場でも、社会福祉士や介護福祉士などの福祉職や、学校の教師などとも協力して対象者の問題解決を図ることが必要になります。自分一人の考えで突き進むのではなく、チームの一員として他者と協力して行動できる力は、リハビリテーションを行う上で欠かせません。また、そのためにも作業療法とは何か、自分の果たすべき役割な何かということを簡潔に相手に説明することが求められます。

<倫理的な判断力>

作業療法士は、患者のプライバシーと倫理規定を尊重しながら、最新で最善の治療を提供する必要があります。医療職であり、また福祉や教育の場面でも仕事をする作業療法士には、個人情報を扱う上で高度なプライバシーを保持する能力が求められます。また人権や法令に違反していないかという倫理的な判断力がなければ、適切な治療を行うことが難しいでしょう。対象者の利益を考えるあまり、法令や倫理にそぐわない内容を実施しても、対象者は喜ばないでしょう。そうした判断ができる高い倫理観が求められます。

<知識の継続的な更新>

医療の進歩は速いため、作業療法士は自分が学んだ専門知識を継続的に更新する必要があります。また、最新の治療法や技術について学び、実践に活かすことが求められます。国家試験に合格するために3年以上密度の濃い勉強をしますが、合格後も絶えず社会状況や技術の革新に合わせたアップデートが必要になります。そうでなければ、今の時代の社会に求められる技術を提供できなくなり、作業療法士の社会的価値が低下することになります。一度この世界に入れば、一生勉強が必要だという認識を持ってください。

<心の強さ>

作業療法士は、時には困難な状況に直面し、患者が回復する過程での挫折や進展を見ることがあります。関わったすべての対象者が回復・改善するわけではなく、病気によっては最初から改善しない見込みのものもあります。それを抱えた人に寄り添っていくためには、十分な心の強さとストレス耐性が必要になります。それらがあると、こうした状況に対処しやすくなります。また、日頃から気分転換ができるようなトレーニングも必要でしょう。気持ちの切り替えを早めに行えるような技術も、日常の様々な生活体験を通して磨いていくことが求められます。

<自己反省と改善意欲>

作業療法士は、自己評価と反省を行い、自身のスキルやアプローチを改善する意欲を持つことが大切です。学んだ内容がどんなに正しくても、相手がそれを受け入れなければ治療は始まりません。目標と治療内容を対象者と十分に共有し、時には自身の考えを変える努力も必要になるときがあります。また他者から指摘されたことを受け止めて振り返ることができるという謙虚さも、作業療法士にはとても大切なものです。患者への最善のケアを提供するために、自己の向上に取り組む姿勢が求められます。

 

以上の特性や資質を備えた人々が、作業療法士としての役割を最も適切に果たすことができるでしょう。ただし、これらの特性は訓練と実践を通じて磨かれることもありますので、最初から備わっていなければいけないということはありません。

そのため、人の意見に素直に耳を傾けられる柔軟さがとても大切になります。作業療法士の仕事は非常に充実感のあるものであり、患者の生活を改善することに貢献することができるため、適切な人々にとって非常に満足感のある職業だと思います。

 

作業療法士について興味のある方は東京福祉の作業療法士科ページをご覧ください。

【作業療法士科ページ】

▶▶https://www.tcw.ac.jp/department/ot

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濱畑 法生 先生

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