コラム

発達障害を持つ子どもの進路選択

発達障害、知的障害、精神障害、身体障害等さまざまな障害があります。これらの障害を持った人たちが、高校生になり進路を選択したいと思ったとき、どんな選択肢があるのかを考えてみたいと思います。

今回は、「発達障害を持つお子さんの進路選択」について話したいと思います。

 

1 発達障害って?

2 どんな個性、能力があるの?

3 自分を認め、自分らしさを活かした仕事を選ぶ

 

1 発達障害って?

障害と聞くと、ハンデがあるという印象を持ちますが、同じように長所も多く持っています。発達障害と一言で言っても、今は「自閉症スペクトラム」と診断名も改訂され、今までは細かく特徴別に診断されていましたが、1つにまとめた集合体としてとらえています。

障害というものですので、生まれ持った特性であって病気ではありません。治療するというよりは、その特性を使って生活のしづらい部分を「療育」という形で改善していきます。

つまり、生まれつきのものですので親の育て方に関係はありません。保護者の方はいつもご自分を責めるようなお気持ちを持たれますが、そうではありません。むしろ「育てにくい」であろうお子さんに、一生懸命考えて対応されてますので素晴らしい保護者だといえます。

2 どんな個性、能力があるの?

「育てにくい」であろうとお話ししましたが、持って生まれた特性からそう言えます。

視線が合わない、共感性に乏しい、表情が乏しい、名前を呼んでも反応しない等人とのコミュニケーションに困難を示すことが多くあります。こだわりの強さも特徴としてあげられます。大人になるにしたがって、コミュニケーション方法は複雑になりますし、こだわりが強いと融通がきかないと周囲から理解されにくいこともあります。

ご本人が、自分の人とは違う特徴をまず理解して自分らしさを知ることで、うまくいかない面も見つけますが、上手く出来ている点も見つけることができます。

「こだわりが強い」が長所になる場面もあるということです。ストレートなコミュニケーションに助けられる場面も多々あります。一緒に学んだり、働いたりする周囲の人が自分の特徴を理解してくれると、さらに高い能力を発揮することができます。職場の人気者ですからと卒業生のことを話してくれる職場の方々がおられることに本当に感謝すると共に、誇らしくもあります。

3 自分を認め、自分らしさを活かした仕事を選ぶ

自分を理解することは、将来の仕事にもつながります。自分に合った環境や仕事内容で働くことで、ハンデを感じるよりも、得意なことが伸ばせることがあるからです。

職業の選択の幅も広いです。様々な業界や職場で、その能力を生かして、楽しく働いているいる先輩たちがいます。

その先輩たちに共通していると思えることの1つに、「自分を認めている」点があります。

「自分なんか、何をしても役に立たない」「自分は頭が悪い」と自分を否定して、これまでの人生で経験した失敗経験だけにこだわっている。この段階はまだ、自分を認めていません。

「自分はこれでいいんだ」「自分らしさなんだ」と思えた時、親も同じようにこれがこの子らしさなんだと思えるようになります。一緒にその「らしさ」を見つける作業ができるようになります。そうすると自然に、短所だと思っていた特性を、どう社会に役立てるかを考えることができるようになります。

これが、自分を認めて自分らしさを活かした仕事選びにつながります。仕事に上や下などない。きれいも、きたないもないと、きれいごとを言うつもりはありません。一番大切なのは、「自分が納得して、気持ちよく働けるかどうかだ」と思うからです。そして、それを教えてくれたのは、発達障害を持って就職してくれた卒業生たちです。

キャリアデザイン科は、発達障害を持った方も入学されます。進路を決めたいけれど、情報が少なく、一緒に考えてくれる人が必要で、「自分を認める」を学生時代に経験したいからだと思います。

もし、今までの先輩たちのように一緒に考えてほしい、自分らしさを認めることことを手伝って欲しいと思えたら、ご連絡ください。学校という進学先の1つとして選んでいただけると幸いです。

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この記事を書いた人

山岸 有里 先生

精神保健福祉士・臨床心理士・公認心理師の資格をもち、本校学生相談室を担当しながら心理カウンセラー科の講師も担当する。

座右の銘:未来の自分にとって優しい選択をする

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