コラム

コロナ禍の保育業界とICTについて

 

 

最近ではICTという言葉がある程度定着をしてきていますが、どのような意味かわかりますか?「Information and Communication Technology」の頭文字を取った略称で、簡単に言うとインターネットを使って人と人、人とコンピューターをつなげることです。

保育とICTという話をするとロボットと子どもたちが関わっている様子が目に浮かびませんか?

違うんです。「人」を育てるのは、まだまだ「人」です。ロボットがこども一人ひとりを理解し、活動のねらいなどを考え、こどもの成長を促すということは先のようです。では、ICTとはどのようにして現場で活用されているのでしょうか?

 

2020年保育現場では劇的な変化がありました。みなさんご存じの通り、新型コロナウィルスによる影響です。その影響を一番受けているのは保育行事だそうです。不特定多数の方が参加する保育園全体の行事がクラス毎に分かれて行事を行うなど対応をしています。運動会などでは小学校の広い校庭ではなく保育園の園庭でクラス毎に行うにあたり保護者から距離が近いからこどもの表情がよく見えるということや場所取りをしなくて良いということなどで良い意見なども出ていたそうです。しかし、半数以上の保護者から保育園全体での運動会や行事が良いというような意見もでているのが現状だそうです。また私の娘の幼稚園もオンラインで行事の様子などを配信されましたが、全くうつっておらず、保護者からもあまりいい意見は聞かされませんでした。

・・・今の話を聞くと誰のための行事ですか?保護者のための行事になっていませんか?今回、多くの保育園が行事の中止や縮小していく中で、保育士に行事に追われることがなく、余裕が出て、一人一人と落ち着いて関わることができているという事例もあがっています。行事の在り方についても保育園の中でも話し合う機会が増えたそうです。

コミュニケーションの変化

もう一つ大きな変化は、保護者とのコミュニケーション方法です。これは園によって環境が違うと思いますが、保育園内に様々な人を入れないようにこどもの受け渡しをしている場所を玄関やベランダで行い感染対策をしている園が多いようです。できる限り関わりを少なくすることで担任の先生とご家族とのコミュニケーションがとりにくくなっているという現状があります。また、何か情報を発信する際、保護者一人ひとりに電話をすることや手紙を書くということで保育の業務が圧迫していることもあります。

 

このように保育の仕事はこどもたちとの活動の他、本来昼寝をしているときに休憩時間をとっていた先生方が遊具やおもちゃ、保育室の消毒をしたり、コミュニケーションが取れない分、連絡帳に状況を書いたりすることをしていて、なれない環境で精神的にも肉体的にもストレスフルな生活を送っていた保育園もあったそうです。

保育業界のICTの活用とは

 

そこで、このような状況だからこそ活かせるのがICTです。ICTはインターネットを使って人と人をつなぐものと説明しましたが、ご家族に緊急に連絡する際、電話でつながるまでかけ続けることと、アプリで全員に一斉送信することとどちらが保育者の負担にならないでしょうか?考えるまでもないですね!!そうです。アプリを使って情報を共有する方が効率的です。また連絡帳もICTを使えば、通勤中のお父さんが昨日の出来事を保育園に伝えることができますし、保育園からの情報も迎えにいった保護者だけでなく両親に伝えることができ、ご家族の時間でもその情報をもとに話をする機会などがあるそうです。また連絡帳も今日の活動などは同じ情報を伝達することができることと、文章だけではなく写真や動画なども見れるようになればよりご家族に保育園での様子などが想像できるのではないでしょうか?

家族との連絡以外にもICTを利用しているのは、保育園に入った入室・退室の記録や出血確認、午睡(お昼寝)のときに体の角度のセンサーがついていてうつぶせになっていないかなどモニター1台で見ることができるシステムなどもあります。また指導案や行事の企画書などもクラウドに保存することで保育士としても在宅で仕事ができるということや、前年度企画を見て、自分の保育色を加え、よりよい保育にしていくなど「保育の質の向上」につながることも考えられます。

このように上手くICTを利用することで保育士がこどもと向き合う時間を多くとるということと、それ以外の業務を軽減、かつよりよい処理を行えるようになることが保育業界におけるICTだと考えられます。株式会社コドモンの方のお話によると、2019年9月の時点で約35000ある保育園のうち約10000施設がICTの導入を行っています。また、株式会社コドモンを利用している保育園が解約せず継続をしたいという率は99.7%と、ほとんどの保育園が導入したら継続を希望しているそうです。

 

保育園にICTを導入することにより保育現場の業務の軽減を図るとともに、保育の質の向上を目指すことになります。これからの保育士は保育の技術を磨き、他の人の保育を取り入れ質の向上を目指すとともにご家族の方と顔を合わせる機会が減る分、常に相手の立場で物事を考え、コミュニケーションを密にとるということが求められると考えらます。今あるのが当たり前ではなく、新しい保育業務の在り方を考えてみてはいかがでしょうか?

関連学科

こどもソーシャルワーカー科【1年制】
対象:4年制大学卒業・卒業見込み

実践に活かせるカリキュラム+就職1年目のフォローアップで児童福祉分野で働く基盤を確立!

詳細はこちら

コラム:タグ

ICTITコミュニケーションコロナ禍保育

この記事をシェアする

カテゴリー