コラム

【12月18日公開予定!】子どもの支援のプロフェッショナルになるには?

子ども分野のソーシャルワーカーを目指すために

少子化、共働き家庭の増加、社会情勢、経済の低迷など社会的な環境変化のなか、こどもを取り巻く環境も変化が大きくなっています。また、児童虐待、子どもの貧困、ヤングケアラー、いじめ、不登校など、様々な問題がクローズアップされ、社会的な課題として取り上げられる機会も増えています。

そのようななか、厚生労働省の専門部会では、「ソーシャルワークスキルを備えたこども・家庭支援」を担う専門職の必要性に応えるため、新たな資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」の創設が議論されました。当初は国家資格化や社会福祉士もしくは精神保健福祉士の養成課程と同時取得できるルートも検討されましたが、2024年の制度スタートは、ソーシャルワークの学びとその実務経験がある方を対象として、指定研修の受講と試験合格により取得できる民間資格となる見通しです。

そのためこれから福祉の学びをスタートする方は、現段階では「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」の養成対象となりません。それでは、他分野の学びや仕事などを経て、これから福祉の学びを始める方が、子どもの分野でさまざまな課題にアプローチする仕事に就くためには、どのような知識やスキルを身につければよいでしょうか。今回は、3つの視点からそれらの一部を紹介していきます。

① 子ども権利を護る存在としての知識と自覚

児童養護施設でこどもの生活に一番近くで関わる際も、児童相談所にて保護された子どもたちのこれからを検討していく際にも、まず大事なのは、子どもの権利とは何かを深く理解し、権利を護ることを基本にした実践に取り組むことです。

たとえば、「こどもの権利条約」に代表される、国や文化の違いを超えた取り決め、権利擁護に関わる法制度、家庭での養育が難しい場合に社会が責任を担うべき「社会的養護」の理念、そしてこれらをふまえ、自治体や民間が子どもの権利を護るために実際に取り組んでいることなど、多岐にわたる内容について体系的な理解をしていくことが必要です。

また、これらの理解を通して、子どもに対する支援者である前に、子どもの権利を護るおとなの一人、社会の一員としてのありかたに向き合うとともに、支援者としての自身の軸を構築することが大切です。

② 多様な子どもたちに関わるスキルとまなざし

国や自治体は、社会的養護が必要な子どもたちに対して、「家庭養育優先の原則」に沿って、里親に委託する子どもたちを増やしていく方向性を推進しています。それにともない児童養護施設や乳児院では、里親委託にハードルのあるいわゆる「ケアニーズの高い子どもたち」の割合が増えていく傾向にあります。そのため、より一人ひとりの心身の状況や特性についての理解や、それらに基づいた一人ひとりにあった関わりが必要とされます。たとえば、子どものメンタルヘルスについての基本的な知識、子どもたちの想いや可能性を引き出す関わり方の引き出しなども重要になります。

③ 多職種とともに家族を支える

子どもに関わる課題解決は、子どもたちだけの支援で終わりません。病気や疾患を抱えた親に対する医療職と連携したサポート、里親委託を進めるための里親になりたい人のリクルーティングや里親委託後の支援、保育所や学校の先生と連携した支援、地域の多様な資源の活用など、家族を支えること、またそのために多職種や地域に暮らす人と連携するための視点も大切です。そのためには、ソーシャルワークの基盤の学びとともに、多様な事例をもとにしたディスカッション等を通して、ソーシャルワークスキルを身につけていくことが必要です。

これらは、幅広い対象にアプローチできる基盤を学ぶ社会福祉士、保育所での就職を想定した学びの割合が多い保育士の「資格」を取得することで必ずしも得られるものではありません。また、就職して現場で働くことで自ずと身につくものではありません。一方で、十分な知識・スキルを修得して就職することで、自身との理想とのギャップや子どもたちとの関わりの難しさに直面した際のレジリエンスを高めることができます。

確かな知識・スキルを身につけ、子どもたちの未来を保障することができる人材を私たちと一緒に目指していきましょう!!

コラム:カテゴリー

ソーシャルワーカー保育士

コラム:タグ

児童福祉子どもの支援

この記事をシェアする

カテゴリー