コラム

保育士を目指すには?学校と国家試験、どちらがいいの?

「保育士」になるには、保育士になるための専門学校や短大に学校に通って、実習に行って…というルートを思いうかべる人が多いかもしれません。
実は保育士を取得するには、学校(大学・短大・専門学校)に入学して取得するほか、国家試験を受験して取得する方法があります。

今回は学校と国家試験の違いや、それぞれのメリット・デメリットについてお伝えします!

学校に入学して保育士を目指すには

大学・短大・専門学校などの学校(指定保育士養成施設)に入学して資格を取得します。
各学校により入学試験などは異なりますが、入学要件としては高校卒業以上の方であればどなたでも対象となる学校がほとんどです。

入学後は保育に関する知識を学ぶ科目や、実際に子どもたちと関わるための実技の科目などを学びます。
学校により2~4年と年限は異なりますが、卒業と同時に資格取得ができることが特長です。
卒業する前に学校を通して保育士資格の申請を行うので、「単位は取得できているが申請を忘れたので資格が取れない」ということも防げますし、「卒業はできたが、国家試験に合格できなかったため資格取得できなかった」ということもありません。
保育士資格証は、学校を卒業した直後の6月頃に申請時に記入した住所宛に届きます。

また、保育士が働いている現場に実習に行くことも、国家試験では経験しない特長です。
現場実習では、以下の通り3回の実習でそれぞれ単位修得する必要があります。
①保育実習Ⅰ(保育園)
②保育実習Ⅰ(施設)
③保育実習Ⅱ(保育園)または 保育実習Ⅲ(施設)
保育園だけでなく、児童福祉施設(児童養護施設や障害児施設、児童館や母子生活支援施設など)での実習があることも特長です。

学校に入学して保育士を目指すメリット

学校に入学して保育士を目指すメリットとしては、以下の通りです。

  1. 専門的&実践的な授業を学ぶことで確かな知識・スキルが身につく
  2. 学生のうちに保育現場を経験できる
  3. 同じ目標を持った仲間と一緒に成長できる
  4. 就職活動や卒業後のサポートが充実している

専門的&実践的な授業を学ぶことで確かな知識・スキルが身につく

学校に入学して学ぶ一番のメリットと言ってもいいかもしれません。

学校で授業を教えてくれる先生は、実際に保育園や障害児施設などで子どもと関わるお仕事をしている先生や、かつて保育園などで長年勤務をされた経験豊かな先生など、各分野の経験豊富なスペシャリストばかりです。

子どもの身体の発育や発達、運動、心の発達(心理)、食や栄養、保健や衛生、保護者の支援、保育の環境構成などなど、様々な分野の専門家から直接学び、自分自身の力にすることができます。わからないことがあれば気軽に質問ができますし、保育現場で起きている最新情報を毎回の授業で確認することができます。

「ピアノは全くやったことがない」「幼い頃に少しだけピアノを習っていたけれど何年も弾いていない」というピアノに対する不安の声も耳にします。
学校に通うことでピアノの技術も向上しますし、本校では一人ひとりのレベルに合わせた指導をしていますので、ピアノ初心者からでも保育現場でよく使われる曲が一通り弾けるようになります。

学生のうちに保育現場を経験できる

学生から現場実習への不安な声を耳にすることも珍しくありません。その気持ちはよくわかります。
しかし、保育士はまだ学生のうちから本物の現場を経験できるとても貴重な業界なんです。

確かに、実習前の準備や学校を離れて行う実習期間中はとてもとても大変ですが、実習を終えて学校に戻ってきた学生たちはみんな見違えるような成長を遂げて帰ってきます。
もちろん大変なこともありますが、日頃学校で学んでいる内容が保育の現場に出たことによって理解が深まったり、保育士さん同士の会話を耳にして子どもの成長のために一生懸命考えて行動する姿に感銘を受けたり、子ども達から「ありがとう」「大好き」という言葉をもらって元気が出たりと、現場実習を経験したからこその成長を経て素敵な保育士さんへの第一歩を踏み出しています。

また、実習で実際の保育現場を見たことで、就職活動の際に就職希望先の選び方がより具体的になります。
園の規模やどんな保育をしているか等、現場を見た経験があるからこそ自分に合った就職先がどんなところなのか具体的にイメージできるようになります。

同じ目標を持った仲間と一緒に成長できる

在学期間中は授業・課題・実習・研究など多くのことに取り組むことになります。
はじめはモチベーションも高く「頑張るぞ!」という思いで授業が始まりますが、人それぞれのタイミングや何かの出来事によってモチベーションが低下することがあります。
そんな時、クラスの仲間と悩みや困りごとを打ち明けたり励ましあったりしながら、互いに支え合い成長できるのも学校に通う大きなメリットです。

「嬉しい出来事があれば仲間と共有し合って喜び2倍。辛い出来事があれば仲間に打ち明けて苦しさ半分。」です。

就職活動や卒業後のサポートが充実している

「保育園がたくさんあって違いがわかりません」
「処遇改善手当って何ですか?」
「社会福祉法人・学校法人・株式会社の保育園って何が違うんですか?」
「園によって求人票の記載方法が違うのでよくわかりません。月給や年俸、固定残業など、違いを教えてください」
…等々、就職活動に関する疑問・質問・不安はたくさんあります。

そんな時は先生や就職専門の部署の方に相談できるのが学校に通うメリットです。卒業生が活躍する職場を紹介してもらったり、履歴書の書き方や面接練習をして採用試験に向けた準備ができます。

また学校を卒業して保育士としての勤務が始まると、保育の内容や保護者との関わり、先輩保育士との関わりなど様々な悩みを抱えることも決して珍しくありません。
そんな時、学校を訪ねて先生たちと話しをしながら悩みを解決したり、解決する糸口を見つけたりする卒業生はたくさんいます。

「同窓会」や「リカレント教育」として組織立って卒業生を支える取り組みをしている学校もあります。卒業したから終わりではなく、卒業してからは同じ保育士の仲間として一緒に考えて子どもの幸せを追求していけることも、学校で学んだメリットです。

国家試験で保育士を目指すには

保育士国家試験の受験資格

4年制大学に在学している方は、2年以上在学して62単位以上修得済みであれば、保育士と関係ない学部・学科でも受験資格があります

また、現在在学中の方も年度中に上記を満たす見込みの段階で受験可能です(年度内に満たさなかった場合は合格および一部合格になりません)。
そのため、保育の学科に通っていなくても、最速で2年生終了時に保育士資格を得ることができます。なお、上記を満たして中退した方も受験資格があります

短期大学卒業または2年制以上の専門学校を卒業した方は、保育士とは関係ない学科でも受験資格があります
なお、現在在学中の方も、年度内に卒業する見込みの段階で受験可能です(年度内に卒業できなかった場合は合格および一部合格にはなりません)。

その他、高校卒業の方も一定の条件を満たすと受験資格があります。
詳細は、全国保育士養成協議会のホームページを確認してください。

試験科目

国家試験は筆記試験と実技試験の2種類あり、筆記試験の8科目をすべて合格しないと受験できません。

筆記試験科目

  1. 保育原理
  2. 教育原理及び社会的養護
  3. 子ども家庭福祉
  4. 社会福祉
  5. 保育の心理学
  6. 子どもの保健
  7. 子どもの食と栄養
  8. 保育実習理論

出題形式は、語群から正解を選択するマークシート方式で、20問ずつ出題されます。各科目で6割以上を得点すると合格になります(2は教育原理・社会的養護それぞれ10問出題のうち6割以上の得点が必要です)。
なお、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士をすでに取得している人は、子ども家庭福祉、社会的養護、社会福祉の受験は免除になります。

実技試験科目

「保育実習実技」の試験で、以下3つの課題のうち2つを事前に選択して受験します。

①音楽に関する技術
幼児に歌って聴かせることを想定して、課題曲2曲を弾き歌いします
ピアノ、アコーステックギター、アコーディオンのいずれかを用いて演奏します。

②造形に関する技術
保育の一場面を絵画で表現します。問題文で設定された一場面が試験当日に示されますので、鉛筆またはシャープペンシル、色鉛筆を用いて45分間で表現します。

③言語に関する技術
3歳児クラスの子どもに「3分間のお話」をすることを想定し、事前に提示されたお話のうち1つを選択し、子どもが集中して聴けるようなお話を行います。

詳しい受験概要はこちらを確認してください。

受験時期と準備

筆記試験は例年4月10月、実技試験は7月12月の2回です。
受験申込はおおむね3カ月前になります。また令和5年の試験より、オンラインによる受験申請ができるようになりました。
申し込みの際には受験資格を証明する書類などの準備が必要になりますので、余裕をもって準備することが大切です。

国家試験で保育士を目指すメリット

保育士試験独自の合格科目の有効期限

社会福祉士や介護福祉士の試験は年1回、合計点が合格点に達したら合格です。もちろん、合格点に達しなかったら、翌年すべての科目を受験し直します。

一方、保育士国家試験は、合格点に達した筆記試験科目は、3年間有効です
つまり、次回の筆記試験は、前回不合格だった科目に集中して学習が可能です。
さらに、通常3年間の合格科目の有効期間を、対象施設において対象期間内に一定の勤務期間及び勤務時間、児童等の保護に従事した場合、最長5年まで延長できる制度もあります。

働くために必要な知識やスキルを効率よく学べる

保育士を取得することで、働くことのできる職場の選択肢を増やすことができます。
しかし、「資格を取得している=即戦力で働くスキルがある」とは必ずしも限りません。試験に合格することはゴールではなく、学びの通過点です。

大切なのは、保育士養成校に通う場合も、試験で資格取得を目指す場合も、「資格を取得すること」のみ目的にするのではなく、学ぶプロセスにおいて、働くために最低限必要な資質をしっかり身につけることを意識することが大切です。
専門職の一員として、働き始めた後も「学び続けることの覚悟」を決めるとともに、その基盤となる知識・技術をしっかり習得することこそが、資格を取得する意義です。

本校のこどもソーシャルワーカー科では、在学中の国家試験受験で保育士取得にチャレンジすることで、保育士養成学科では2年かかる資格取得を最短1年で実現することを目指します
希望により社会福祉士通信課程を併修することで、2年間で保育士と社会福祉士のW資格取得を目指すことができ、かつ在学中の1年の学びでは、多様なこどもたちに関わっていく力を習得することができます
国家試験受験と学校での学びの両方のメリットを生かした新しい教育システムで、みなさんのこどもに関わる専門職を目指す目標の実現をバックアップします。

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