コラム

介護福祉士と看護師は何が違う?ココが知りたい‼︎自分に合った職業選択のために

日本は急速な高齢社会を迎え、サポートする人の必要性も高まっています。「人を支える仕事をしたい」「社会に役立つ仕事に就きたい」と考えている人の中には、”介護福祉士や看護の仕事がそれに近いのかな”と調べ始める人も多いと思います。

ここでは、この2つの仕事の違いを資格や仕事内容から解説しますので、「自分に合っているのはどちらだろう?」という視点を大切にしながら参考にしてみてください。

=目次=

1.介護福祉士と看護師の資格の違い

2.介護福祉士や看護師になるまでの違い

3.介護と看護の仕事内容・役割の違い

4.介護福祉士と看護師の給料の違い

5.まとめ

1.介護福祉士と看護師の資格の違い

 介護福祉士も看護師の資格は、どちらも「国家資格」です。介護福祉士は、介護の資格の中でも、社会福祉士及び介護福祉士法で定められた唯一の国家資格です。国家試験に合格して登録をすることで厚生労働大臣から登録証が交付され、 更新しなくてもよい一生の資格となります。

 一方、看護師は、保健師助産師看護師法に定められた厚生労働大臣の免許となります。介護福祉士と同じように国家試験に合格して免許の申請をする必要があります。介護福祉士は「福祉職」看護師は「医療職」に分類される点も違いとなります。

2.介護福祉士と看護師になるまでの違い

 〇介護福祉士になるまでの方法

 介護の仕事に興味をもってからの始め方により次の3つに分けられます。どこからスタートしたいかという視点でそのプロセスの違いを確認してみてください。

 1)介護職員初任者研修修了から始める場合

   介護職員として働くスタートの資格(130時間:約1か月間)を持って、介護の仕事経験を重ねながら、本格的に仕事にしていきたい、ステップアップしたいという気持ちとともに介護職員実務者研修(450時間:約半年間)を修了した後に、3年間の実務経験を経て国家試験の受験資格を得ることになります。働き始めることを優先しながらも少しずつ自信を深めて、本格的に仕事にしていく人にとっては、4,5年と少し時間はかかりますが国家試験を受けられる要件を満たすことに繋がります。

 2)介護職員実務者研修終了から始める場合

   この研修を修了すると、実務3年で国家試験の受験資格を得ることになります。研修期間が6か月以上となりますので、働き始めてから最短で4年後に受験することができます。ただし、国家試験の学習は自己学習となるため、働きながら自己学習と情報収集しながらその対策に臨むことが必要です。

 3)介護福祉士養成施設に入学する場合

   最短で2年間(専門学校等)~4年間(大学)1800時間以上の養成施設で学ぶことで、卒業年次に国家試験の受験資格を得ることができます。介護福祉士をはじめから目指している人にとっては最短2年間での取得が可能になります。受験対策に取り組んでいる学校も多く、全国で約300校の養成校の中じから、その学校独自の教育の特徴や国家試験対策の充実度や実績などを調べて「ここで学びたい!」と思う学校を選ぶと、充実した学校生活や同じ資格取得を目指す仲間との出逢いとともに国家資格取得に結びついていきます。  また、養成施設卒業の場合、万一国家試験が不合格または受験しなかった場合でも、准介護福祉士を名乗ることができ、国家試験に再チャレンジして合格することや、5年間継続して働くことにより介護福祉士になれます(令和8年度の卒業生まで)准介護福祉士が国家資格なのかどうかについて厚生労働省は明示しておりませんが、現在国家資格に準ずる資格として位置づけられています。

 〇看護師になるまでの方法 

  看護師になるためには、3年課程以上の看護師を養成する学校を卒業する必要があり、次のように定められています。看護師養成所 教育課程の編成に当たっては、3年課程及び3年課程(定時制)にあっては、 基礎分野13単位以上で360時間以上、専門基礎分野21単位以上で510 時間以上、専門分野36単位以上で990時間以上及び臨地実習23単位以上 で1035時間以上の講義、実習等を行うようにすること。

  つまり、看護系大学や看護系専門学校(3年~5年)を卒業することが、国家試験の受験資格を得ることとなるため、働きながら資格取得を目指す資格ではありません。

3.介護と看護の仕事内容・役割の違い

  〇介護福祉士の仕事内容と役割

介護福祉士は、生活する上で何かしらのサポートを必要とする方の「生活を支える」ことが主な役割となります。生活を支えるということは日常生活で行われている行為である起床、整容、移動着替え、食事、歯磨き、入浴、排泄などがあげられると思いますが、そこにサポートが必要な方に支援を行うことが仕事となります。また、介護を支えているご家族等の介護者への助言を行います。専門家として住み慣れた地域で暮らすことを支えること、多職種と連携を図りながらチームでサポートしていくことも、最近は特に重要な役割となっています。

その中で、介護福祉士の専門性となるのは、一人ひとりの「心身の状況に応じて」サポートするということです。その方がどのような状態でいらっしゃるのかということを、身体機能面だけでなく、どうしたいのかという気持ちや価値観を尊重しながら、必要な介護の方法と量を見極めたり、生活の喜びや楽しさを引き出しながら関わることが求められます。その人がこれまで生きてこられ培われた価値観を尊重しながら、その人らしく、今をどう生きたいのかということに伴走しながら、共に過ごす時間を大切にして過ごすことが仕事になります。

また、介護福祉士は医療的ケアも部分的に担うことになります。医療行為とは、「人体を傷つける恐れのある一切の行為」です。介護福祉士は「福祉職」のため医療行為を業務として行うことは出来ませんが、生活上、痰吸引が必要となる方にとっては、医療職でなければ行えないとなると、命に関わるということから、介護職員実務者研修や介護福祉士養成施設での講習と実地研修を経て福祉職でも行うことが可能となりました。その他にも、以前はグレーゾーンといわれてきた爪切り(日常の生活で当たり前に行われていることであっても刃物は人を傷つける恐れがある為)は、糖尿病の人の爪や変形がある爪でなければ、介護福祉士が行うことができるようになっています。

 〇看護師の仕事内容と役割

看護師は、医師の診察にもとづく「診療や治療の補助」と病気やケガなどで不自由な生活を送っている患者さんに対する「療養上の世話」が主な役割となります。また、高度化する医療体制において、患者さんと医療スタッフ間の連携を図ったり、患者さんの抱える痛みや不安などを和らげるケアや指導も担っています。

働く場所や配属により、1日に行う主な仕事の内容が異なるという特徴があります。診察補助では、体温/血圧/脈拍の測定や、採血、注射、点滴の管理、服薬の説明などが仕事となります。入院病棟では入院患者さんの食事・入浴・排泄などを含めた療養上のサポートも担います。救急センターでは、深刻な外傷を負った人や急な体調悪化により搬送されてくる人が多いため、医師と連携しながら、出血している人の止血や、骨折の処置、心肺蘇生など迅速に対応する仕事が多くなります。また手術室では、執刀医への器械出しや、病棟と連携を図りながら術前・術後のケアなどを担当します。介護老人福祉施設などの高齢者施設では、健康管理や服薬管理、軟膏塗布や褥瘡の処置、経管栄養の管理などを行います。

 

4.介護福祉士と看護師の給料の違い

厚生労働省「令和2年度(2020年度)介護従事者処遇状況等調査結果」から、

・介護職員の平均給与:315,850 ※介護職員初任者研修修了者等も含む

・看護師の平均給与 :379,610

  

  介護福祉士の場合、平均329,250(厚生労働省発表)と国家資格を有しているため、これより少し高くなります。ただ、介護福祉士より看護師の方が、給与は「高い」といえます。いずれの資格も「平均」のため、働く職場や地域、手当の額などにより違ってきます。また、どちらも資格取得のために学校に通う場合、学費がかかりますし、正規職員としての収入を得る期間ではないため、進学の費用や、就職時期と人生設計をどのように考えるか、ということも影響するかもしれません。

・介護福祉士 入学~卒業まで:24年 学費総額:350万~500

・看護師   入学~卒業まで:35年 学費総額:550万~700

  国家資格を有していると、転職や再就職がしやすいこともあり、女性の場合、結婚・出産・育児などで一旦仕事を離れる人もいます。

  給与の金額差も大事な要素ですが、あくまでも仕事内容や役割に向かう気持ちが高いかどうかと、人生の転機や節目においてどのような人生を歩みたいか、という考えとともに生涯得られる収入がいくらになるか、という視点も大切にしてみてください。

5.まとめ

  どちらの職業・資格を目指したいのか、どちらが自分に合っているのかという点から整理すると、介護福祉士は「日常生活の支援」が主たる業務の「福祉職」です。そのため、利用者の生活の維持や向上を目的として、教育内容も生活とは何か、利用者の思いや楽しみをどのように支援していくかを主として学びます。看護師は「療養上の世話と診察の補助」が主たる業務の「医療職」ですそのため、利用者の健康回復を目的として、教育内容も療養上の世話に関する内容と医学的知識を主として学びます。お互いが学ぶ内容は、重なる部分もありますが、その専門性において方向性は少し異なります。また、福祉職と医療職に上下関係はありません。お互いがその専門性を生かして、対象となる方を支えるために連携しています。自分は介護の仕事に向いているのか、看護の仕事に向いているのか、仕事内容の軸足が医療(生命・健康・療養)か福祉(生活・人生)のどちらかということが大きな違いになるでしょうか。学びの難易度とも照らしながら、社会的意義の大きいこの2つの職業から、それぞれの進路選択に結びつくと良いのではないかと思います。

 

介護と看護の違いについてさらに詳しく知りたい方は、東京福祉専門学校のオープンキャンパスにお越しください。看護師・介護福祉士の教員がさらに詳しくその違いや疑問にお応えします。

関連学科

介護福祉士科【2年制】
対象:高校卒業以上の方/留学生

高齢者の「生きる」に寄り添い笑顔をつくるプロに!

詳細はこちら

コラム:カテゴリー

介護福祉士

コラム:タグ

医療国家資格看護師

この記事をシェアする

この記事を書いた人

横山 佐季 先生

大学で心理学を学び、一般企業を経て1995年に東京福祉専門学校に入学、卒業後、施設から在宅までの現場を経験し、東京福祉専門学校の職員として現在プラスα講座の構築に従事。

座右の銘:個を生かす

カテゴリー