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ヤングケアラーとは

みなさんは「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことがありますか。

テレビや新聞、インターネットなどで目にする機会も増えましたが、「なんとなく聞いたことはあるけれど詳しくは知らない」という人も多いのではないでしょうか。

2024年には、いわゆる「ヤングケアラー支援法」が成立し、国や自治体がヤングケアラーへの支援に取り組むことが法律に位置付けられました。それから約2年が経った今、改めてこの問題について考えてみたいと思います。

実はヤングケアラーの問題は、一部の特別な家庭だけの話ではありません。もしかすると、あなたの友人やクラスメイト、あるいはあなた自身にも関係することかもしれないのです。

ヤングケアラーとはどんな人?

ヤングケアラーとは、本来であれば大人が担うような家族の介護や世話、家事などを日常的に担っている子どもや若者のことをいいます。

例えば、

・病気や障害のある親の身の回りの世話をしている
・認知症の祖父母の介護をしている
・仕事で忙しい親に代わって幼い弟や妹の面倒を見ている
・毎日の食事づくりや洗濯、掃除を担当している
・外国出身の親に代わって通訳や書類の手続きを行っている
・家族の悩みや不安を一人で受け止めている

といったケースがあります。

ここで大切なのは、「お手伝いをしている子ども」と「ヤングケアラー」は同じではないということです。

家族の一員として家事を手伝ったり、弟や妹の面倒を見たりすることは決して悪いことではありません。責任感や思いやりを育てる経験にもなります。

しかし、その負担が大きすぎる場合は話が違います。

友達と遊ぶ時間がない。

部活動に参加できない。

宿題や勉強をする時間がない。

進学や夢を諦めなければならない。

こうした状況になっているのであれば、それは単なるお手伝いではなく、子どもが大人の役割を担わされている状態かもしれません。

なぜヤングケアラーが生まれるの?

ヤングケアラーの話を聞くと、「親がもっと頑張ればいいのでは」と思う人もいるかもしれません。

しかし、現実はそんなに単純ではありません。

例えば、家族が病気になったり、障害を負ったりすることは誰にでも起こり得ます。

ある日突然、お母さんが病気で働けなくなるかもしれません。

お父さんが介護を必要とする状態になるかもしれません。

弟や妹に特別な支援が必要になるかもしれません。

そのような状況の中で、家族は生活を守るために必死になります。そして気付けば、「家族のために」と子どもが大きな役割を担うようになっていることがあります。

また、ひとり親家庭では保護者が長時間働かなければならないことがあります。

経済的な事情から十分な支援サービスを利用できない家庭もあります。

高齢化が進み、介護を必要とする人が増えていることも背景の一つです。

つまりヤングケアラーの問題は、家庭だけの問題ではありません。

介護、障害、病気、貧困、地域のつながりの希薄化など、社会全体の課題が重なって生まれている問題なのです。

ヤングケアラーの何が問題なのか

家族を支えること自体は決して悪いことではありません。

むしろ家族を大切に思う優しい気持ちの表れです。

しかし、子どもが大人の役割を担い続けることには大きな問題があります。

まず、学ぶ機会が失われることです。

朝早く起きて家事を済ませる。

夜遅くまで介護をする。

その結果、授業中に眠くなったり、宿題ができなかったりすることがあります。

進学を諦めるケースもあります。

また、友人との時間が失われることもあります。

高校生の時期は、友達と笑い合い、部活動に打ち込み、自分の将来について考える大切な時間です。

しかし家に帰らなければならない事情があると、その機会を十分に持つことができません。

さらに深刻なのは心への負担です。

「自分が頑張らなければ家族が困る」

「自分しかできない」

「迷惑をかけたくない」

そんな思いを抱え続けることで、強いストレスや孤独感を感じることがあります。

本来、子どもには学ぶ権利があります。

遊ぶ権利があります。

夢を描く権利があります。

ヤングケアラーの問題は、その大切な権利が十分に保障されなくなる可能性があることなのです。

実は見つけるのが難しい問題

ヤングケアラー支援が難しい理由の一つは、本人が「助けて」と言わないことです。

むしろ、

「家族だから当たり前です」

「別に困っていません」

「自分がやらないといけないので」

と話すことも少なくありません。

周囲から見ると、

責任感がある。

しっかりしている。

優しい子だ。

そう見えることもあります。

実際にヤングケアラーの子どもたちは、とても優しく、真面目で、責任感が強い人が多いのです。

だからこそ周囲は気付きにくくなります。

しかし、本当に大切なのは「頑張れているかどうか」ではありません。

「一人で抱え込んでいないか」を見ることです。

高校生のみなさんへ

もし今、家族のために頑張りすぎていると感じているなら、ぜひ知っておいてほしいことがあります。

それは、「相談してもいい」ということです。

家族を大切に思う気持ちは素晴らしいことです。

でも、自分自身を大切にすることも同じくらい大切です。

先生に話してもいい。

スクールカウンセラーに相談してもいい。

信頼できる大人に話してもいい。

助けを求めることは、わがままではありません。

責任を放棄することでもありません。

一人で抱え込まないための大切な行動です。

 

 

ヤングケアラーを支えるソーシャルワーカーという仕事

ヤングケアラーの問題は、子どもが頑張れば解決する問題ではありません。

また、家族だけで抱え込んで解決できる問題でもありません。

そこで大切な役割を果たすのがソーシャルワーカーです。

ソーシャルワーカーとは、生活の中で困りごとを抱えている人や家族と一緒に解決方法を考え、必要な支援につなげる専門職です。社会福祉士や精神保健福祉士などがその代表です。

例えば学校で、先生が「最近いつも眠そうにしている」「放課後になると急いで帰っている」といった変化に気付いたとします。

話を聞いてみると、家に帰って祖母の介護をしていることが分かった。

そんな時、ソーシャルワーカーは本人だけを見るのではなく、家族全体の状況を確認します。

介護サービスは利用できないだろうか。

経済的な支援制度は活用できないだろうか。

地域の相談機関につながれないだろうか。

学校生活との両立を支える方法はないだろうか。

このように、一人ひとりの状況に合わせて支援の方法を考えます。

ソーシャルワーカーの仕事は、困っている人にアドバイスをするだけではありません。

人と人をつなぐ。

人と制度をつなぐ。

人と地域をつなぐ。

そうした「つなぐ役割」を担っています。

ヤングケアラー支援で大切なのは、子どもから家事や介護をすべて取り上げることではありません。

家族を大切に思う気持ちは尊重しながら、その負担が重くなりすぎないよう支えることです。

そして、子どもが学び、遊び、友人と過ごし、自分の将来について考える時間を取り戻せるよう支援することです。

もし将来、「困っている人の力になりたい」「誰かの人生を支える仕事がしたい」と考えている人がいるなら、ヤングケアラーを支えるソーシャルワーカーという仕事もぜひ知ってほしいと思います。

声にならない困りごとに気付き、その人らしい生活を取り戻せるよう支援する。

それがソーシャルワーカーの大切な役割なのです。

おわりに

ヤングケアラー支援法ができたことは大きな前進でした。

しかし、本当に大切なのは法律があることではなく、子どもたちが安心して助けを求められる社会をつくることです。

家族を思う優しさは大切です。

けれど、その優しさによって子ども自身の未来が狭められてはいけません。

家族のために頑張ることと、一人で背負うことは違います。

私たち大人には、子どもたちが子どもらしく学び、遊び、夢を描ける環境を守る責任があります。

ヤングケアラーの問題は、特別な誰かの問題ではありません。

子どもたちの未来を守るために、社会全体で向き合うべき身近な課題なのです。

そして、その課題の解決に向けて、人と人、人と社会をつなぎながら支援するソーシャルワーカーという専門職がいます。

ヤングケアラーを支えることは、子どもたちの「今」を守るだけではありません。

子どもたちの「未来」を守ることでもあるのです。

東京福祉専門学校社会福祉科では、児童福祉専攻でこどもを支えることについてより深く学ぶことができます。苦しんでいる子どもを支えることに関心を持っているあなた、東京福祉専門学校社会福祉科で苦しんでいる子どもを支えるために必要な知識や技術を学んでみませんか?

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