コラム

勉強中、スマホに手を伸ばさないでいられた自分にチョコをあげよう!そうすると勉強に集中できるよになります!

「勉強になかなか集中できない!」「わからない問題にぶち当たって、そこから進まない!」など、国家試験の勉強に限らず、普段の勉強でもよくある場面だと思います。
勉強の意欲を維持するのは本当に難しいですね。維持できずに、TVやスマホに手を伸ばしてしまう自分を責めてしまいますね。仕方ないと開き直っている方も多いかと思います。

そんな状況を打破する方法の一つに、「応用行動分析(ABA)」というものがあります。発達領域の作業療法でも使われていて、行動の基本原理に基づいて、行動を理解し、適切な行動を増やす働きかけをするものです。
具体的にはABC分析ということをします。ABC分析によって、個人と環境との相互作用を理解することができます。
A) 先行刺激:事前の出来事、きっかけ
B) 行動:きっかけから起きたこと
C) 後続刺激:最終的な結果(得たもの、失ったものなど)
の3つに整理し、そこからどうすれば好ましい結果につなげることができるかを考えます。

例えば、
A) 試験勉強中、わからない問題にぶち当たった
B) 考えている時間が長くて勉強が嫌になってきた
C) ついついスマホに手を伸ばしてしまった
という分析ができた場合、まずはA)の先行刺激を操作できるか、きっかけから崩すことができるかを考えます。難しい問題やわからない問題は後回しにしたり、友達や先生に後でまとめて聞くなど、前もってきっかけをなくす、または少なくできれば、B)のように嫌になるという結果を避けることができるかも知れません。そうすればC)のようなダメな結果、自分を責めてしまう状態もなくなるかも知れません。

もう一つ、A)の先行刺激を操作する方法があります。行動の自発を促進するためには、環境的・人的支援としてのヒントや手助けを与える必要があります。これを「プロンプト」といいます。この「プロンプト」には視覚的にわかりやすくする「刺激プロンプト」、声掛けや誘導などによる「反応プロンプト」があります。例えば「刺激プロンプト」であれば、“わからない問題は飛ばす!”と書いた紙を貼っておいたり、難しい問題に貼り付ける“PASSカード”を準備しておくなど。「反応プロンプト」では、考え込みそうな自分に“それは飛ばして次に行きましょう!”と言ってあげたりします。ここで大事なことはこれらの「プロンプト」をそのままにしておくのではなく、徐々に減らしていくことです。これを「フェーディング」と言います。手助けやヒントがなくても良い行動ができて、良い結果を得ることができるようになります。

ですが、これだけでは長続きせず、また同じことを繰り返してしまったり、他の問題が生じたりして、またついついスマホに手が伸びてしまいます。なぜ、そうなるのかと言うと、せっかくできたことが「強化」されてないからです。「強化」とは、“それをやって良かったからまたやろう”ということです。「強化」されて良い行動が繰り返されることを「行動連鎖」と言います。

それでは、どうすれば「強化」できて「行動連鎖」ができるようになるのでしょう?これには、「強化子」というものが必要です。例えば、ご褒美。C)でスマホに手を伸ばさなかった私にチョコを一つ!とか、その状態を1時間続けた私にシュークリーム!とか、更にそれを1週間続けられた私にケーキを買ってあげよう!とか…。例として、甘いものばかり挙げてしまいましたが、適量の糖分であれば脳にとっては栄養になり、勉強中に脳がオーバーヒートしないで済みます。もっと先のご褒美を設定しておいてもよいかも知れません。例えば、このテストが終わったら美味しいものを食べに行く、楽しいところに遊びに行くなど。ただ、あまりゴールが遠すぎると「強化子」としては弱くなってしまいますので、ポイント制にするなどして「強化子」を忘れないように、弱くならないようにする工夫は必要です。

ちょっとした小さい「強化子」から大掛かりな大きな「強化子」まであると、いろいろレパートリーが増えて、良い「行動連鎖」が起きそうですね。まずは小さいチョコレートからご褒美にいかがですか?

<参考文献>NPO法人つみきの会 編:イラストでわかるABA実践マニュアル.合同出版,2015

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この記事を書いた人

小泉 雄一 先生

作業療法士として、身体障害(急性期・回復期・慢性期)、老年期障害(老健・デイケア・訪問)精神障害(デイケア)、発達障害(療育センター・民間療育機関)、専門学校非常勤講師(作業療法治療学)を経て、2019年3月 東京福祉専門学校に入職。

座右の銘:人事を尽くして天命を待つ

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