保育士のお給料と保育士修学資金貸付制度について!
オープンキャンパスにいらっしゃる方の中には「保育士のお給料はあまり高くないんですよね??」という心配の声を耳にすることがあります。
そこで今回は「保育士のお給料はこんなに改善されています⤴⤴」という良いお知らせをしたいと思います。
皆さんは「待機児童」という言葉を聞いたことがありますか?
待機児童とは、保育園に入りたいのに保育園の数が足りない・定員が埋まってしまって保育園に入れないため入園を待っている状態の子どものことを言います。つまり、待機児童の親は産休・育休を終えて仕事に復帰できないこととなります。
2016年の新語・流行語大賞のトップテンにこのような言葉が選ばれ話題になり国会でも取り上げられました。
「保育園落ちた日本死ね!!!」
これはインターネットに匿名で投稿された文章のタイトルです。投稿された文章はこのような内容です。(はてな匿名ダイアリーより一部抜粋)
何なんだよ日本。
一億総活躍社会じゃねーのかよ。
昨日見事に保育園落ちたわ。
どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。
子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?
何が少子化だよクソ。
過激な表現ではありますが、仕事に復帰して育児との両立を目指していたがそれが実現できなかった保護者の悲痛な叫びと、待機児童問題に対する強烈な批判です。
国はもともと待機児童対策をとっていなかったわけではありませんが、上記の投稿が世の中でも注目されたことをきっかけに保育園の数が増えていくスピードが上がりました。
東京都の認可保育園の数・園児の定員数・待機児童数の変化
【2016年】
保育園の数:2,342園
園児の定員数:230,334人
待機児童数:8,466人
【2022年】
保育園の数:3,596園
園児の定員数:319,510人
待機児童数:300人
なんと、6年間の間に保育園が1,254園増えた結果、問題となっていた待機児童は8,166人減りました。
東京都23区に限れば、18/23区で「待機児童0」を達成。待機児童がいる5区の合計でも32人です。待機児童は劇的に改善されています。
そしてここからが今日の本題です。
この待機児童問題と保育士のお給料は大きく関係しています。
それは「保育園を新設するためには、そこで働く保育士等がいないと開園できない」ということです。よく考えれば当たり前のことなのですがなぜそれが保育士のお給料と関係しているのでしょうか??
それは、かつて保育士の仕事は「お給料が安い、仕事量が多い、残業が多い」と言われ、保育士資格を持っているけれど保育の仕事からは離れている人が多数いることと関係しています。
国は保育園を増やすにあたり「そのような問題を解決して保育士が安心して働ける環境を作ろう!」と動き出しました。
「お給料が安い」と言われていた課題に対して、
・基本給のアップ
・手当の充実
を図り、保育士のお給料は改善されてきました。
全国の保育士平均年収(厚生労働省 賃金構造基本統計調査より)
【2013年】310万円
【2014年】317万円
【2015年】323万円
【2016年】327万円
【2017年】342万円
【2018年】358万円
【2019年】364万円
【2020年】374万円
【2021年】382万円
8年で平均年収が72万円も上がっています!
そしてさらに自治体(都道府県や市区町村)によっては、月82,000円を上限とした家賃補助や月40,000円~50,000円程度の独自の手当てを支給して保育士の収入を上げることで働きやすい環境を整えています。
【家賃補助(宿舎借上制度)】
月82,000円×12か月=984,000円(年)
※本来は自分で払う家賃を自治体&保育園が負担してくれています。
【自治体独自手当ての一例】
- 松戸手当(千葉県松戸市)
月45,000円×12か月=540,000円(年)
- ふなばし手当(千葉県船橋市)
月42,610円×12か月 + 76,560円(賞与時)=587,880円(年)
いかがですか?保育士のお給料は確実に改善されてきています。
また上記の年収は全国平均ですが、保育士のお給料は都市部の保育園ほど高くなっています。
それは認可保育園の収入の仕組みに理由があります。
認可保育園の主な収入源は国や市区町村から交付される補助金です。補助金にもたくさんの種類があるのですが、園児の年齢・人数・保育園の定員・職員の勤続年数・そして「地域」によって金額が異なります。東京都23区の認可保育園が最も高く設定されています。
つまり園児の人数・定員・職員の勤続年数が同じでも、その保育園がどの地域に属しているかによって補助金の金額が異なるということです。
先ほどお伝えしたように保育園の主な収入は補助金ですので、補助金収入の多い地域ほどそこで働く職員さんのお給料も高くなるという仕組みです。
お給料がすべていうわけではありませんが、とても大切な要素の1つでもありますよね??
保育士を目指す学生へのサポート
保育士の働く環境の改善の1つとして保育士の卵(保育士を目指す学生)へのサポートもあります。
【保育士修学資金貸付】
在学中、月50,000円以内(総額1,200,000円以内)の貸付制度。
卒業後、制度を利用した自治体で一定期間保育士として勤務することで返還免除
※保育士修学資金貸付制度がない自治体もあります。
保育士修学資金貸付制度についてはこちら
https://www.tcw.ac.jp/admissions/tuition_support/scholastic-funds-ch
こども保育科はこちら
https://www.tcw.ac.jp/department/child
今回は「お給料が安い」ということに対しての国や都道府県の対策と現状をお伝えしました。
次回は「仕事量が多い、残業が多い」ことに対しての自治体や保育現場の取り組みをお伝えします!