コラム

介護福祉士の給料はどうなる? 気になる初任給や年収と働き方

介護職員の給与や年収はどれくらい?

介護福祉士になると平均年収が高くなるってホント⁉

これから介護の仕事を始める人にとって、月給や年収は気になるポイントです。

日本政府は、介護職の方が”やりがいを持って長く働けるように” 待遇改善に力を入れています。ここからは、そうした国の方針を含めて介護職員の給料と働き方のリアルを解説します。

介護福祉士の給与について、詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

1 介護職員の平均年収・給与は?

2 気になる介護福祉士の初任給と手当

3 2022年2月から介護職員の給与は上がる?

4 介護職員の待遇は改善の方向へ

5 介護職員として給与をアップするには 

6 まとめ

 

1.介護職員の平均年収・給与は?

”平均”という代表値はなじみ深いとは思いますが、100人の労働者のうち、99人の年収が300万で、1人だけ1億円稼ぐ人がいると、その平均は約400万円と100万円も実感値と異なって感じることもあるため、データの数字を鵜呑みにせず、職場の種類や勤続年数、勤務地、保有資格の有無、役職などの視点からその実態をつかむことが重要です。

〇介護福祉士と介護職員の給与・平均年収の違い

介護職の給与ですが、厚生労働省が発表したデータによりますと、「介護福祉士」の平均給与額は32万9250万円です。介護職員としてのスタート資格である「介護初任者研修」修了者の平均給与額30万1210円と比べると、+28,040円となります

(令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果)

つまり、介護福祉士になると給与は高くなるということです。

介護職員の平均年収は約340万ですが、これは持っている資格と、地域差も含まれた平均です。関東圏、特に東京都が最も高い水準です。

 保有資格   平均勤続年数  平均給与額(月給)  年収(想定額) 
介護福祉士 8.9年 329,250円 3,951,000円
実務者研修 6.7年 303,230円 3,638,760円
初任者研修 7.3年 301,210円 3,614,520円
無資格 5.5年 275,920円 3,311,040円

※平均給与額は、手当や一時金も含む

2.気になる介護福祉士の初任給と手当

これから介護福祉士を目指される人にとっては初任給がいくらなのかも気になると思います。大卒新卒と比べて高い?低い?どのようなことで差が開く?

ここではその内容をみてみましょう。

〇介護福祉士と大卒初任給

介護福祉士の初任給の相場は約19万円です。そこに「国家資格の資格手当」や、「夜勤手当」の額とその回数に応じて、支給される金額は変わってきます。

国家資格の資格手当は約5,000円~10,000円、夜勤手当は1回約8,000円~12,000円のため、これらの手当を含めると1年目から支給額が約21万~23万円となる事業所も少なくありません。

大卒初任給がようやく21万円台になったと話題になっていますが、平成20年代から長く続いた大卒初任給が20万円台だったことと比較しても、介護福祉士の初任給は決して低いスタート金額ではありません。

〇基本給は賞与(ボーナス)に影響する

ただし、就職するときに「基本給」をしっかり確認しましょう。これは賞与に影響します。手当を含めた月々の受け取る給与と、年2回の賞与の金額に数万~十数万単位で違いが出ることもあります。

〇夜勤手当と働き方は?

多くの施設がとっている夜勤の働き方は、夕方16時~17時頃出勤し、翌朝9時~10時頃退勤(休憩2時間程度)します。夜勤は2日分の勤務に相当します。

夜勤手当は、1日当たり4,000円~6,000円程度の手当がつくのです。夕食から就寝介助を行った後は、コール対応や体位交換、排泄介助等を行いながらも、基本的には就寝されている時間を見守る時間も長いため、交代で職員も休憩に入ることができます。夜勤はワークライフバランスが気になる働き方でもありますが、夜勤入りの日は朝から夕方まで、夜勤明けの日は退勤後、さらにその翌日は全て休み扱いとなるため、平日を含めて比較的、自由な時間を多くとることができます。

仮に、月に4回夜勤の場合、例えば1回の手当10,000円だとすると4回で40,000円の夜勤手当が基本給に加えて支給されます。

そして、夜勤入りの日、明けの日、その翌日×4回=月に12日間がほぼ自分の時間として自由に使えるとなるような感覚です。

頻度が多いと生活リズムが乱れる感覚もあるかもしれませんので、収入を重視する余り、健康に害を及ぼさないよう、月に2~4回のペースでシフトが組まれるのが通常です。

〇働く場所の種類と平均月給・平均年収

手当などを含めると、夜勤のある介護老人福祉施設、介護老人保健施設、特定介護施設(有料老人ホーム)が平均月給34万~36万円、平均年収にして400万~430万と高くなっています。反対に通所系、訪問系のサービスは平均月収30万円、平均年収にして370万程度と施設系より少し低い傾向です。

※令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/20/index.html

3 2022年2月から介護職員の給与は上がる?

〇介護職員の給与は上がっている?

日本政府は、「介護職員処遇改善支援補助金」として、介護職員の賃金を上げる取り組みを図っています。2022年2月からは9月までの期間となりますが、従来から行われていた、「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」などに加えて介護職員の賃金改善が継続されています。

このことは政府が真剣に介護職員の仕事の必要性を感じ、長く働ける環境を待遇面から整えている取り組みでもあり、喜ばしいことです。

平均月額9,000円アップしているというデータからも、この政府の補助金により介護職員の給与は概して上がっていることは間違えありません。

給与明細のどこを見ればわかるのかはいくつかのパターンが考えられます。

①「基本給」に反映して支給されている場合

②「手当額」として支給されている場合

③「賞与」に増額して支給される場合

④「一時金」としてまとめて一定額が支給される場合

⑤ ①~④の組み合わせにより支給される場合

などです。

いずれにしても、事前に介護職員への説明が必要不可欠なことですので、わからないことがあれば事業所責任者に尋ねて確認しましょう。

4.介護職員の待遇は改善の方向へ

〇介護職員の給与はこれからも上がる?

この2022年2月からの介護職員処遇改善支援補助金は、実は2月から9月までの期間に適用されることなので、これから介護職員や介護福祉士を目指す人にとっては働き始める前に終わってしまうのでは?と思うかもしれません。

介護や医療、保育といったサービスの性質上、国が定める公定価格(介護報酬や診療報酬)が見直されない限り継続的な賃上げは難しい仕組みでもあります。

ところが、日本政府からは介護・障害福祉職員については臨時の介護報酬改定をおこない、2022年10月以降も恒久的な(これからも変わらずに続いていく)加算として組み込む方針がすでに示されているのです。

このことは一時的に賃金を上げることで働き続けてもらおうというのではなく、今後も必要となる介護の仕事とその仕事をする人を大切にしていきたいという政府の姿勢でもあると思います。サービス利用者や国民負担はできるだけ抑えながらも、職業と職業に従事する人を守るという姿勢です。

政府からの正式発表はこれからとなりますが、報酬改定後も対象職種の条件や交付額は2022年2月開始の賃上げと同内容になる可能性が高いとみられています。

5.介護職員として給与をアップするには

仕事をしていく中で「もっと収入を増やしたい!」と思った時に真っ先に頭に浮かぶ言葉は「辞めてもっと給料のいいところに移ろうかな」となるでしょうか?

しかし、それ以外の方法もあることを知ると、少し違った考えや方法を選択できるかもしれません。介護職としてのキャリアをどのように磨いていきたいのかを考えながら、良かったと思える選択をしていけるとよいと思います。

〇収入を増やすための4つの選択肢

収入を増やすやめの方法は大きく4つ考えられます。

1)『職場を変える方法(転職)』

2)『職務・資格を変える方法(転職・配置転換・部署異動)』

3)『立場・役割を変える方法(昇進・昇格)』

4)『自分で事業を始める方法(起業)』

ただし、どの方法も必ず上がるとは限らないことや、自分が働きたい働き方と繋がっているのかを点検して、行動に移すことが大切です。

1)『職場を変える方法(転職)』

  もっといい条件のところで働きたいな、と思ったときに真っ先に考えることだと思います。実際、介護業界で働き始めると同じような仕事なのに・・と感じる場面もあるでしょう。給与は働く職場の経営状況と職員をどれだけ大切にしているかという、運営者の姿勢が表れることもあります。いい条件と感じた場合、転職は給与アップに直結する最短の方法でもありますが、求められること、人間関係などを含め、運営方針やチーム連携が図れる環境かどうかを確認するといいでしょう。

2)『職務・資格を変える方法(転職・配置転換・部署異動)』

  職務を変えるとは、介護福祉士から介護支援専門員になる、介護職員初任者研修修了者から介護職員実務者研修を経てサービス提供責任者になるなど、介護職員としての上位資格取得とステップアップを図ることが1つ。そして、介護職から社会福祉士やリハビリ専門職(理学療法士や作業療法士)などの関連する資格取得に向けて学び直しを行うことで、基本給や手当の金額を上げるという方法がもう1つ。いずれの場合も、一旦働いている職場を離れざるを得ないことも多いとため、自己投資する時間とお金が別途必要になるということになります。やりたい、なりたいを叶えるための覚悟や経費と行動が揃ってはじめて資格取得となるため、しっかりとした見通しや計画を立ててから始めることをお勧めします。

3)『立場・役割を変える方法(昇進・昇格)』

  同じ職場で働いている中で、その力が認められるとフロアリーダー、主任、介護課長などの役割を任されるようになります。基本給がアップすることや、役職手当として5,000円~数万円などが支給されることで給与が上がるのが特徴です。慣れた職場でよりよいサービスや環境をつくっていくことができるため、日々の積み重ねと職場の信頼から、給与アップが望めます。ただし、チームをまとめたり、判断を仰ぐ場面が増えるなどのマネジメントの視点や責任の範囲も増えるため、そうした職務も楽しめるかどうかがひとつの判断となります。

4)『自分で事業を始める方法(起業)』

  すこし斬新に感じるかもしれませんが、雇われるという働き方から自分自身で事業を起こすという方法もあります。住み慣れた地域で暮らすことを考えたときに、公的なサービスだけでなく、このように運営したらご利用者も職員もハッピーになるかも!などの発想から、そういう職場がなければ自分で創ってしまおう!という発想です。自由に楽しみながら、賛同してくれる仲間とともに創り上げていくプロセスは苦労がありながらも、何にも代えがたい喜びも待っていると思います。ただし、ビジネスとして成り立つのか、法人や会社の設立などの手続き、資金も必要となりますので、自分なりによく調べて、相談できる人に相談しながら、進めていくことで夢に近づいていくことができます。地域共生社会において、安心できる新たな価値はこうしたところから生まれるのかもしれません。

6.まとめ

 介護の仕事に信念を持って永く続けていくことが、そこで出逢う様々な人と体験によって、自分の道を拓くことに繋っていきます。昔は「やりがいがあるので・・・」と言われる介護職でしたが、今はやりがいと安定収入の両方をバランスよく手に入れられる時代になっています。そんな関わる人全ての人が幸せを感じる職業であることを実感しつつ、日々のお仕事に邁進してください。

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この記事を書いた人

横山 佐季 先生

大学で心理学を学び、一般企業を経て1995年に東京福祉専門学校に入学、卒業後、施設から在宅までの現場を経験し、東京福祉専門学校の職員として現在プラスα講座の構築に従事。

座右の銘:個を生かす

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