私は、精神科病院と地域の障がい者施設で障がい者に携わってきました。ここでは現場で起きている事を踏まえ、日々感じていたことをお伝えします。
現場でなかなか慣れることができなかったのが「サービス」という表現である。

■制度の変化と歴史
精神保健分野は、精神病者監護法から始まり社会福祉基礎構造改革から規制緩和、市場開放をうたって、高齢者分野では介護保険が始まり、精神保健医療福祉分野で精神保健医療福祉の改革ビジョンが打ち出された。そして、障害者福祉分野でも障害者自立支援法が施行された。社会福祉基礎構造改革からのこの一連の流れは今までの社会福祉の歴史の中でもとても大きなものであり、大きな転換期だった。
■障がい者との関わり
社会福祉における「支援」というものは、障がい者のニーズから出発するものであり、そのニーズとは、非言語的なものも含めて、支援者がくみ取っていくものではないかと思う。そこで重要なものが障がい者と支援者との「信頼関係」である。それは、障がい者のニーズに基づき、その人の全体像を把握しながら行うものだと思っている。しかしながら、サービス主体になってきてしまうと、当事者の表面的かつ言語的な訴えのみを満たすものとなってしまう。そして、現在一部の現場で起きていることは、障がい者の囲い込みと獲得のための自己決定を無視した強い働きかけである。社会福祉が福祉サービスとなり、一つのビジネスの形態になってしまったのではないだろうか。
■専門学校で福祉を学ぶ
このような時代だからこそ、法律や制度に振りまわされるのではなく、「実学」を身につけていく必要があるのではないかと感じている。
最後に、未来に仲間になるであろう皆さんにお伝えしたいことは、資格を取得するためだけの狭く効率的な学びだけではなく、自身の人間観や社会感をより深くより広げるための幅広い学びにも身を投じてもらいたい事である。社会福祉士・精神保健福祉士の仕事は自分そのものを活用する仕事である。そして、社会福祉士・精神保健福祉士として現場に出たら自身の実践してきたことを当事者・ご家族・地域から必要とされる専門職を一緒に目指していきましょう。