コラム

こども家庭ソーシャルワーカーとは?仕事内容など紹介

2024年に新たに創設された認定資格「こども家庭ソーシャルワーカー」は、こどもと家庭を取り巻くさまざまな問題に対応するための重要な資格です。こども家庭ソーシャルワーカーは、児童相談所、児童養護施設、地域のこども家庭センター、教育機関などで活躍します。これらの場でこどもやその家庭に対して、個別の支援を行い、問題解決に向けたサポートを提供します。こども家庭ソーシャルワーカーとして、こどもたちが安全で健康的に育つために重要な役割を担うことが求められます。
今回は、こども家庭ソーシャルワーカーの具体的な仕事内容や、こども家庭ソーシャルワーカーとして資格を取得するための流れについて詳しく解説します。必要な知識やスキル、そして資格取得のプロセスをしっかりと理解し、実践に活かしましょう。

目次

こども家庭ソーシャルワーカーとは?

こども家庭ソーシャルワーカーの資格創設の背景

こども家庭ソーシャルワーカーの主な役割

こども家庭ソーシャルワーカーの仕事内容

こども家庭ソーシャルワーカーが活躍する場所

こども家庭ソーシャルワーカーの資格取得の流れ

こども家庭ソーシャルワーカーに必要なスキル

東京福祉専門学校の「こども家庭ソーシャルワーカー養成講座(指定研修)」について

まとめ

 

こども家庭ソーシャルワーカーとは?

「こども家庭ソーシャルワーカー」とは、こどもと家庭福祉の現場において、実務者の専門性を向上させることを目的として創設された認定資格です。こども家庭ソーシャルワーカーの主な役割は、こどもが将来にわたり健やかで幸福な生活を送ることができるよう支援することです。2022年6月に児童福祉法が改正されたことを受けて、2024年4月からはこども家庭ソーシャルワーカーになるための養成がスタートしています。この養成過程を経て、こども家庭ソーシャルワーカーの認定資格を取得するためには、所定の試験に合格する必要があります。こども家庭ソーシャルワーカーとして活動するためには、専門的な知識とスキルを身につけ、実務での経験を積むことが求められます。

こども家庭ソーシャルワーカーの資格創設の背景

児童福祉法の改正や、こども家庭ソーシャルワーカーの資格が創設された背景には、子育て世帯にまつわる社会問題があります。
仕事と育児の両立や親の介護、経済的困窮、家庭内暴力、病気や障がいなど、家庭を取り巻く環境の課題が深刻になっており、児童相談所に寄せられる児童虐待の相談件数も年々増加しています。これまでにも児童虐待防止のための対策は講じられてきたものの、虐待による死亡事故が後を経たない状況です。
このような問題に対処しこどもの生活環境を守るためには、高い専門性が必要とされます。そのため、こども家庭福祉分野の専門的な資格としてこども家庭ソーシャルワーカーが創設されることになったのです。
なお、こども家庭ソーシャルワーカーは、2023年4月に内閣府に発足した「こども家庭庁」が管轄しています。同庁からの認定機関である一般財団法人日本ソーシャルワークセンターが、こども家庭ソーシャルワーカーの研修認定や試験、資格者登録などを行っています。

こども家庭ソーシャルワーカーの主な役割

こども家庭ソーシャルワーカーは、こども家庭に深く関わり、こどもや保護者の悩みを理解し、問題解決に向けて対応することが主な役割です。こども家庭ソーシャルワーカーは、虐待を受けたこどもの保護を行うとともに、保護者の養育支援が必要な場合は、こどもをサポートします。また、学校でのいじめや不登校、発達相談、児童相談など、こどもの成長や生活に関連するさまざまな悩みや相談にも対応します。こども家庭ソーシャルワーカーは、相談者に対して助言や指導を行い、心理的サポートを提供することで、こどもが健やかに成長できるよう支援します。さらに、虐待による悲しい事例や死亡事件の発生を防ぐため、積極的にこどもを守る役割も果たさなければなりません。

こども家庭ソーシャルワーカーの仕事内容

こども家庭ソーシャルワーカーは、こどもと家庭に関する相談支援を行うことが主になります。こども家庭ソーシャルワーカーは、機関や施設に訪れる相談者から悩みや問題を聞き取り、それに対して最適な方法でアドバイスや支援を提供します。さらに、こども家庭ソーシャルワーカーは、教育機関や医療機関、各自治体のサービスなどと密接に連携し、個別のケースに応じて必要な支援を提供することが求められます。こどもやその家庭に対して、適切なサポートを組み合わせることで、より効果的な支援を実現します。

こども家庭ソーシャルワーカーが活躍する場所

こども家庭ソーシャルワーカーは、以下のように児童に関する相談や支援を行う場所での活躍が期待されています。

  • 児童相談所
  • 児童養護施設
  • 各自治体のこども家庭支援センター
  • 乳児院
  • 保育所 など

こども家庭ソーシャルワーカーの資格取得の流れ

こども家庭ソーシャルワーカーの資格取得のルートは4つあります。すでに所有している資格や児童福祉に関連する相談援助の実務経験の有無、機関の種別や職種、経験年数などによってルートが分かれています。
第1号から第4号までの各ルートで定められた実務経験や追加研修を終了してから、指定研修「100.5時間以上」を受けて、資格認定試験に進む必要があります。指定研修を受けるまでの各ルートの詳細は以下のとおりです。

(1)第1号ルート

社会福祉士または、精神保健福祉士の資格を所有している方のルートです。

必要とする資格 「社会福祉士」または、「精神保健福祉士」
実務経験 社会福祉士または、精神保健福祉士として、指定施設(※1)において2年以上、主として(※2)児童の福祉にかかわる相談援助業務に従事した者
備考 (※1)「指定施設」とは、児童相談所、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、病院、診療所、精神科病院、市役所、区役所などが該当します。

(※2)「主として」とは、以下の2つの考え方に該当します。

●    週に40時間勤務している場合、平均して週20時間以上、児童の福祉にかかわる相談援助業務に従事していること

●    週の労働時間が40時間未満の場合、「児童の福祉にかかわる相談援助業務」に従事したすべての期間の合計が、年間平均20時間以上かつ2年と同等と認められること

(2)第2号ルート

第2号ルートも、社会福祉士または、精神保健福祉士の資格を所有している方のルートです。
第1号ルートの違いは、「主として」業務に従事したかにあります。第1号ルートのように労働時間は問われませんが、必要な期間をとおして従事していた方が該当します。
さらに第2号ルートは、追加での研修が必要になります。追加研修の時間は、社会福祉士養成課程で「児童・家庭福祉」に該当する科目を履修していたかどうかで異なります。

必要とする資格 「社会福祉士」または、「精神保健福祉士」
実務経験 社会福祉士または、精神保健福祉士として、(※1)指定施設において2年以上、児童の福祉にかかわる相談援助業務を含む業務に従事した者
追加研修 ●    社会福祉士養成課程で「児童・家庭福祉」に該当する科目を履修していた場合:追加研修15時間以上

●    上記に当てはまらなければ、追加研修24時間以上

(3)第3号ルート(経過措置)

社会福祉士や精神保健福祉士は所有していないけれど、実務経験がある方のルートです。追加でソーシャルワーク研修を受ける必要があります。

必要とする資格 なし
実務経験 (※1)指定施設において4年以上、(※3)「主として」児童の福祉にかかわる相談援助業務に従事した者
追加研修 ソーシャルワーク研修:97.5時間以上
備考 (※3)「主として」とは、以下の2つの考え方に該当します。

●    週に40時間勤務している場合、平均して週20時間以上、「児童の福祉にかかわる相談援助業務に従事している場合

●    週の労働時間が40時間未満の場合、「児童の福祉にかかわる相談援助業務」に従事したすべての期間の合計が、年間平均20時間以上かつ4年と同等と認められる場合

(4)第4号ルート(経過措置)

保育士の資格を所有しており、保育士として実務経験がある方のルートです。第3号ルートと同じく追加でソーシャルワーク研修を受ける必要があります。

必要とする資格 保育士
実務経験 保育士として、保育所や認定こども園などの施設において、4年以上児童の福祉にかかわる相談援助業務を含む業務に従事した者
追加研修 ソーシャルワーク研修:165時間以上

 

参考:こども家庭ソーシャルワーカー認定講座特設サイト「資格取得までの流れ」

こども家庭ソーシャルワーカーに必要なスキル

こども家庭ソーシャルワーカーには、以下のようなスキルが求められます。

コミュニケーションスキル

こども家庭ソーシャルワーカーにとってコミュニケーションスキルは必須です。問題や悩みを打ち明けてもらえるように、こどもや保護者との対話や接し方がとても重要です。また関係機関との連携を図ることも多いため、スムーズに協働する能力も欠かせません。

柔軟性や判断力

こどもや保護者、家庭の数だけ問題や悩みが存在するため、それぞれのケースに合わせられる柔軟性が大切です。またケースによって難しい判断を必要とする事例もあるため、判断力も求められるでしょう。

問題解決スキル

こども家庭ソーシャルワーカーは、複雑な家庭問題の問題やその原因を探り解決に導けるようなアプローチが必要です。どのような問題にも取り組み解決するスキルが欠かせません。

思いやりをもって対応できる力

こどもや家庭のことに対して思いやりをもって対応できるかどうかも大切です。モラルや良心など、人として守るべき考えをもって対処しなければなりません。

こども家庭ソーシャルワーカー養成講座(指定研修)について

現在、社会福祉士や精神保健福祉士、保育士を取得していて、実務経験等の要件がある方は、指定研修を受講することで「こども家庭ソーシャルワーカー」資格を取得することが可能です。

 

研修の受講要件は取得資格や実務経験等により以下のように4つに分類されています。社会福祉士・精神保健福祉士取得の方は第1号・第2号、資格取得のない方は第3号、保育士取得の方は第4号の要件に分類されます。

 

■認定資格研修の受講要件 (受講対象者)

第1号 (社会福祉士・精神保健福祉士として、指定施設において児童の相談業務を2年以上)

第2号 (社会福祉士・精神保健福祉士として、指定施設において児童の相談業務を含む2年以上)

第3号 (指定施設において児童の相談業務4年以上)

第4号 (保育士として、保育所、幼保連携型認定こども園、その他準ずる施設において児童の相談業務4年以上)

 

また、それぞれの受講要件で受講する必要のある認定研修は、以下のように3つに区分されています。どの要件の方も必要な「指定研修(区分1)」に加え、第2号の人は「追加研修(区分2)」、また、第3号と第4号の方は「ソーシャルワーク研修」をそれぞれ指定の時間受講する「ソーシャルワーク研修(区分3)」です。

 

■認定研修 (区分)

区分1 指定研修 (第1号~第4号共通: 100.5時間)

区分2 追加研修 (第2号対象: 24時間)

区分3 ソーシャルワーク研修 (第3号対象: 97.5時間 / 第4号対象: 165時間)

 

※まだ資格をお持ちでない方、これから目指す方

前述のように、資格をお持ちでない方、こども家庭ソーシャルワーカーをこれから目指す方は、社会福祉士や精神保健福祉士、保育士の養成課程に通い、国家試験を経て資格を取得することがスタートラインになります。東京福祉専門学校の社会福祉士一般養成科では、1年間で社会福祉士の資格を目指すことができます。

 

社会福祉士一般養成科の詳細はこちら

まとめ

こども家庭の福祉分野は、さまざまな社会課題を抱えており、今後さらに専門的な人材のニーズが高まると予想されています。こども家庭ソーシャルワーカーをはじめ、ソーシャルワーカーや保育士など、幅広い職種が求められていますが、こども家庭ソーシャルワーカーとして現場で活躍するためには、より高度な専門性を持ち、幅広い知識やスキルを身につけることが不可欠です。
こども家庭ソーシャルワーカーとしての専門的なスキルを高めるためには、実践的な人材養成が重要です。こども家庭分野での活躍を目指す方は、東京福祉専門学校までお問合せいただき、専門的な教育を受けることができます。

 

こどもと関わるソーシャルワーカーをめざす方は
東京福祉専門学校の社会福祉科「児童福祉専攻」をご検討ください。

関連学科

社会福祉科 4年制【高度専門士】

高校卒業以上

国家資格:社会福祉士・精神保健福祉士

社会福祉士一般養成科 1年制

4年制大学卒業・卒業見込み

国家資格:社会福祉士

コラム:カテゴリー

ソーシャルワーカー保育士相談職社会福祉士

コラム:タグ

こども家庭ソーシャルワーカー保育士社会福祉士

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