コラム

作業療法士の現場実習について

本校の作業療法士学生をみていると、「気持ちは優しいけどシャイ」「平和を好む」「他者評価(他者に受け入れてもらえるか)が気になる」といった傾向を感じます。以前筆者が実施した作業療法士に対するアンケート調査では「他者に自分を受け入れてもらえるかとても気になる」という回答が多かったことから、業界全体の特徴なのかもしれません。

確かに作業療法士はリハビリという手段を使って患者さんが望む活動を支援をするので、相手に合わせることができる性格の方が合っているのだと思います。これを読んで自分に当てはまると思ったら是非作業療法士の門戸を叩いてみて下さい。特に東京福祉専門学校は内気で優しい学生さんを支援することが得意な先生ばかりです。

さて、作業療法士になるためには学生時代に必ず現場実習を経験します。上手くできるかな?と、とても心配ですよね。畳みかけるようですが、在学中に1000時間以上、一日9時間の実習をしたとしておよそ112日間もあります。医療・福祉業界で専門職として働くわけですから学生時代にしっかりトレーニングをする必要性があると頭で理解できても、不安は拭えませんよね。

どの養成校でも学年によって段階的に実習を設置しています。
1年生では見学主体の実習、2.3年生では現場で作業療法士の補助を体験したり、実際の患者さんを題材に作業療法のプログラムの立案、最終学年ではプログラムを実践するといった流れです。実習中は学生一人ひとりに専属の実習指導者がついて細やかにサポートしてくれます。さらに2020年から指導内容の向上やハラスメントを防止すべく、実習指導者は5年以上の臨床経験と16時間の研修を修了することが義務化されました。そして実習中は学校教員が実習地とコミュニケーションをとって実習の進捗をチェックしてくれます。実習地のように経験がない未知の場所で勉強することは誰にでも不安が伴いますが、近年の実習サポート体制は充実していると言えます。

しかしながら、実習はリアルな現場ですので学生自身の努力も必要です。指導者から誤りを指摘されることがあるでしょうし、患者さんから怒られることもあるかもしれません。眠い目をこすって調べ物をする夜もあるでしょう。しかしながらこれらが実習の大変さかと言うと実は表面的なもので、本当の試練は別のところにあると思っています。
例えば、部活で技能が上達しなかったり、友人関係で悩んだり、定期試験で成果が出せないなど悔しい想いをしたとします。そのときは「悔しい!」と感情的になってしまうかもしれませんが、多くの人は出来なかった自分を見つめ、認めて前に進むことを選択します。それと同じで、実習中に起こる出来事そのものが辛いというか、それに対応できない自分への歯がゆさや、もっと勉強しておけば良かったという後悔などを通して、自己を知ることが真の試練であるように思えます。専門家になるには避けては通れない道ですが前述したとおり専属の実習指導者と学校の教員が支えてくれるのであなた一人ではありません。

さらに詳しい内容をそれぞれまとめています。
下記リンク先の記事をご覧ください。

*引っ込み事案な人が作業療法士になるまで 現役教員が2つの方法を伝授
https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/career/useful/11395/
*作業療法士の実習とは?目的や3種類の実習内容について解説
https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/career/useful/7834/
*【OT教員が教える】作業療法士の辛い実習を乗り越える3つのヒント
https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/career/useful/8271/

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この記事を書いた人

泉 良太 先生

東京福祉専門学校の卒業生。 卒業後、都内の救急病院で作業療法士として責任者を勤め、その傍らで大学、専門学校の非常勤講師として活躍。 スタッフへのマネージメントや教育をしていく中で教育に気持ちが入り専門学校の教員に転身。

座右の銘:雲の向こうはいつも青空

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