コラム

高校生など、10代で障害者手帳を取得するべき?!そんな保護者の方の悩みを解決!

障害者手帳の取得は、誰もが迷い、戸惑うことだと思います。障害者手帳を取得すれば、社会生活で支援を受けやすく、生きやすくなるというイメージはあります。でも、一方では偏見がまだまだあるので、誤解を受けないか、レッテルをはられて障害者としてしか見てもらえない、扱ってもらえないのではないか?という懸念もあるのではないでしょうか?結婚できなくなるのでは?と相談を受けたこともあります。
「心配しても仕方がない」「これからの生活を過ごしてみないと分からない」と言うのが答えだと思うけれど、自分の子どもの事なので心配はつきないというのが親ではないでしょうか?
そこで今回は、そんな保護者の方のお悩みを一緒に考え、他の同じような状況の子どもたちやその親がどういう選択を取ったのかを紹介したいと思います。

障害者手帳ってそもそも何?
障害者手帳の取得で得られるもの、失う(失うかもしれない)もの
10代~20代(学生の時)に取得すべき?取得するタイミングはいつ?
他の人はどうしてるの?
まとめ、手帳の取得を相談できる場所は?

 

障害者手帳ってそもそも何?

障害者手帳には、種類があります。身体障害、知的障害、精神障害と障害の種類別に、手帳があり軽度~重症度にあわせて等級もあります。
障害者手帳は、障害のある方の生活を支援するための制度です。地域によって具体的な支援サービスは異なりますが、「医療費の助成」「税金の控除」「補装具や住宅改修費の助成」「公共交通機関などの割引」などがあります。

障害者手帳の取得で得られるもの、失う(失うかもしれない)もの

心配なのは、手帳取得後に得られる支援の具体的な内容というよりも、周囲の反応や、失うものが無いかということではないでしょうか?
自分の欠点、できないことを明確に証明されるような気がして、不安になることもあるかもしれません。本人は勿論ですが、その親もとてもつらい気持ちになるのは当然だと思います。親は、子どもに申し訳ないという気持ちや自分の責任ではないかとさらに深く悩むこともあるのではないでしょうか?
そのような悩みを、私もカウンセラーとして相談を受けてきました。「私は障害があるわが子受け入れているが、父親はどうしても手帳の取得を拒否している。」「私たち家族は、いいが親戚が反対していて本人のためにならないと、説得されるが本当にそうなのか。」など周囲の大人もなかなか答えが出ないようです。
障害者手帳を取得することで、安心できることもあります。
1つは、本校でも行っていますが、「合理的配慮」という支援が得られることです。どのような配慮が得られるかは、学校側と本人・保護者との直接の話し合いで決まりますが、学びやすい環境を整えることができます。例えば、私が所属している専門学校では、座席の位置をドアの近くや一番後ろにすることで教室で学ぶことへの不安を軽減する。勉強内容の理解を深めるために、個別で補習を毎週行っている、文字を読むのに時間がかかるので、試験時間を長めにもらっている等があります。
他にも、就職をする時に障害者手帳を使った就職も可能です。普通の就職よりも、障害を理解してもらって働くことができるので、無理なくストレスも少なく安心して働く環境で働くことができます。
失うものはというと、具体的にはありません。取得に検査を行ったり、申請に時間を取られたりと手間と時間はかかります。保険に入れないのでは?という不安をお聞きすることもありますが、現在の健康状態が審査の基準ですので、生命保険などは、障害者手帳が無くても、健康状態で入れないということがあり、障害者手帳は関係ありません。
ただ心理的な負担というデメリットがあります。取得した安心感でななく、心理的不安や親としては、色々と遅れはあるものの成長している姿を見て、喜びや期待も感じていたので、その頑張りをこれで終わらせることになるような残念な気持ち障害者として生きていくことで、健常者が持っている権利を手放すということも失った事になるのかもしれません。

10代~20代(学生の時)に取得すべき?取得するタイミングはいつ?

中学生、高校生、大学生や専門学校生という学生である時期に、障害者手帳の取得を考える事が多いのではないでしょうか?
進学、進級するというタイミング、学校生活で困難な場面がある、先生から勧められたということもお聞きしたことがあります。
どのタイミングがいいのか?という疑問の答えは、本人が現在の障害を受け入れた時というのが答えになると私は思っています。
これまでの経験では、こどもが小学生の時に取得したが、本人には伝えていないという保護者の方や、保護者は障害者手帳に反対しているので、自分(本人)からは言い出せないというケースもありました。
「特性」という言葉を使うことが最近は多くなりましたが、自分の出来る事、できない事、得意な事や苦手な事を知るのは誰にとっても有益なことです。
自分を知ることで、納得してた選択ができるようになるからです。
「本当は、〇〇になりたかったけど、自分にはこっちの方が向いている、自分らしく楽しく働くことができるので今の進路を選択しました。」という、なりたい方ではなく向いている方の選択をすることもできます。
あきらめるという事とは少し違います。あこがれはもっていますが、それにこだわってストレスを感じたり、自信を無くしたりする毎日ではなく、主体性をもって自分で選択し向いている方の仕事にやりがいや楽しさを感じて毎日を過ごすという感じでしょうか。
10代ではまだまだ、自分のことがわからない、自分の可能性や楽しいと感じることが見つけられないのであれば、焦って手帳の取得をする必要は無いと思います。
「取りあえず、取っておくか」「何かあったときのために取っておく」等の意見をお聞きすることもありますが、そうやって取った障害者手帳は、使う時にはまた使うかどうか悩むのではないでしょうか?
障害者手帳は、使いたいと思った時に提示して活用します。例えば国の制度として「年金の支払い」というものが成人になると発生します。障害を持っている方は、通常成人が支払う「年金」の支払いを控除されています。携帯電話の料金が安くなります。バスや電車も安くなります。でも手帳の提示をせずに、普通の金額で使っているという方もいらっしゃいます。
進学するとき、就職するときに「自分のできることは、〇〇です。」「苦手なことは〇〇ですので、~の環境を用意していただければ配慮はいりません」「〇〇のような仕事をしたいと思ったので、ここに進学(就職)を希望しています。」と伝えることができる。そんな自分の事を理解して、他者に伝えられるようになれたら、取得することを考えるのが良いのではないでしょうか?

他の人はどうしてるの?

他の人がどうしているのかは、私が出会った例を先ほども少し紹介しました。私の経験では、周囲から見てわかる、少し話をすれば何か障害があるかもと特に知識が無い普通の人やお子さんと同年代の子どもにもわかるくらいの障害がある方は、10代でも障害者手帳を取得しておられるケースが多いように思えます。
普通では気が付かない、3か月程度過ごしてみると気づき始めるくらいの障害の方が、取得を悩まれているように思えます。障害が軽度であるから、又は障害の種別で一見わかりにくい障害である事も関係すると思います。他にも精神障害というのは、イメージが悪いので、できれば取得したくないとはっきり言う方もおられました。
19歳の女の子の例があります。療育手帳はすでに持っていて専門学校に入学してきました。小さい頃に、発達の遅れを指摘され、中学生の時に取得したそうです。
本人は、明るくお話し好き、色々なことに興味がありアイドルも大好き。推し活もしていました。手帳を使った就職か、それとも簡単な仕事であれば手帳を使わなくても仕事ができそうなので、手帳を提示せずに就職して、仕事でも困らなければ手帳も必要ないのではと考えていました。保護者の方とも相談して、結論は手帳を提示して就職しました。介護の仕事の補助をする仕事で病院に就職を決めました。
カウンセラーの私と話して、選択する基準を決めることにしました。まず1つは、人と話すのが好きな明るい彼女は、色んな人と話す機会が多い仕事が向いている事。2つめは、誰か指示する人がいて、そのサポートとして色々と意見を言ったり、頼まれ事をこなすことはできる。自分ひとりで、作業や仕事をして、それができているかどうかを誰かに確認してもらうような仕事は、責任というプレシャーや不安を持つことが多く、簡単な仕事だとしても、本人が嫌だと感じる場面が多い。この2点を選択の基準として、手帳を使った就職に決めました。
最初の家族と本人の希望は手帳を使わない就職でした。手帳を持っていると面接では言いたくない。言わないと嘘をついたことになるのであれば、手帳を返してしまいたい。現在の自分は出来ないことよりも、できることが多くなってきた。普通のみんなと同じだと自分も思いたい。中学校で手帳を取った時、必要がなくなれば返せばいいと教えてもらった。というお話が中心で普通の簡単な事務の仕事を探してほしいという希望でした。
「自分を知って、納得して手帳を取得した」のでは無い場合は、「いつか使える」と思って取得しましたが使わずにただ持っているだけで、普通高校に進学、卒業して、専門学校に入学、卒業することができる状態でした。
本人や家族から卒業する時、卒業後に教えていただきました。あの時(中学生の時)は、勧められて検査を受けて、そしたら療育手帳がとれるIQだったと結果を聴いてショックだった。なので、その後はやっぱりいらないとは言えず、なんとなく取得する方向で言われるままに申請をした。そのショックは、ずっと引きずっていて、コンプレックスで、自分は他の皆と違う、皆よりも頭が悪いんだって思っていた。だから高校生の時は、自分の意見を言うのが怖かったし、馬鹿だって思われるのが怖くてニコニコしてるだけで過ごしてた。母もかわいそうだ、ごめんねと思いながらそんな娘を励まして、できるだけ褒めてと思いながら過ごしてきた。
でも今は、状況は同じですが気持ちが違ってきました。障害があるというのは、特徴に過ぎないし、できることも沢山ある。それを評価してもらって、仕事も沢山お願いされるし、感謝もされる場所で働けると感じています。とのお話でした。
卒業した現在も、継続して同じ場所の障害者枠で働いています。給料は高くありませんが、税金が給料から引かれませんので、他の同学年の人よりも「手取り」で、約2万円多いようです。1万円を将来のために貯金して、残りは推し活に使っていると教えてくれました。

まとめ、手帳の取得を相談できる場所は?

手帳の取得を相談できる場所は、市区町村の障害福祉相談窓口や東京都であれば、東京都心身障害者福祉センターなど、各都道府県に福祉センターがありますのでそこで相談できます。精神障害であれば、通院している精神科病院でも精神保健福祉士が相談に乗ってくれます。
手帳の取得の相談とは、ただ手帳の申請手続きや手順、具体的な手帳を取得する利点や欠点などの説明だけでは、ダメなのではないのではないかと私は思っています。
障害がある、無しに関わらず自分の将来の人生設計、キャリアプラン、ライフワークバランスを考える事はとても重要なことです。自分らしい、自分が楽しい人生だとイメージできる将来を選択するために、相談すると考える必要があると思います。
障害者手帳が取得できる可能性があるのであれば、その選択が入った相談になっていくだけで、自分のお子さんの将来を心配して一緒に考えるためには、家族以外の人に少し話を聴いてみることもお勧めします。その時は、遠い将来のキャリアプランを考える気持ちで、相談したり質問したりしてください。相談窓口の担当者は、自分の専門性や知識を使って説明したり相談に乗っています。相談する側が、上手くその人を使っていく。自分たち家族の考えをまとめたり、参考にしたりするために相談に行くのだと考えて相談すると良いと思います。目の前の困り事だけではなく、将来のキャリアプラン、お子さんの自立を考えていけるといいですね。
最後に、障害者手帳の取得に悩んだり、取るべきかどうか悩んでいる。子どもの将来が心配。お子さんが持つ、可能性についていろいろ知りたいと言う方は、キャリアデザイン科にご相談ください。この学科には、自分を知るということに力を入れた教育プログラムと、卒業後の進路を決めるために一緒に考えてくれる専門職の教員やカウンセラーが居ます。興味のある方は、相談会にお越しください。

★保護者のみの参加もOK!個別相談会開催中◎★

東京都心身障害者福祉センター
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/jigyosyo/shinsho

東京福祉専門学校のキャリアデザイン科はこちら
https://www.tcw.ac.jp/department/career-design

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