コラム

ランチョンマットを敷くだけで、家で勉強できるようになります! ~発達領域の作業療法から学ぶ必勝勉強法 その2~

「家だと勉強できない!」「学校の自習室や図書館、カフェも時間が限られていて困る!」などなど、新型コロナウイルス感染拡大防止による緊急事態宣言を受けて、学生さんから悲鳴が聞こえています。実際、なかなか自宅では誘惑も多く、勉強に集中することは難しい環境になっていることが多いですね。この時期、テスト勉強や国家試験の勉強を集中してできる場がなくて困っている方が大勢いると思います。

どうして自宅だと勉強に集中できないのか?については、様々な原因があり、個々人によっても違ってくるとは思いますが、基本的には「自宅を勉強する場であると認識してない」とういことが考えられます。自宅は、自由な場所であり、くつろぐ場所です。それに比べて、学校の自習室や図書館、カフェなどは若干の騒音はあるものの勉強せざるを得ない環境を作ることができます。

 

そんな環境を自宅で全く同じように作ることは難しいのですが、環境を整えることで勉強する環境にすることはできます。そのヒントが、発達障害に対する「構造化による指導」にあります。「構造化による指導」とは、視覚的な手掛かりなどを使って、教科学習や自立課題などを支援するものです。「構造化」とは、わかりやすくいうと“今何をする時間か、次にどうなるのかなど、活動や世の中のことのしくみなどを、その人に分かりやすく示す方法”です。今回は、その中の『視覚的構造化』について紹介します。

 

『視覚的構造化』には、次の3つの要素があります。

  • 視覚的指示:求められている課題を完成させるために、一連の材料の組み合わせや達成の順序を視覚的に示す(例えばカットアウトジグ、指示書など)
  • 視覚的整理統合:作業の環境の中で、材料と空間を整理することによって、感覚的に入力される刺激を調整する(視覚的に境界をつくるなど)
  • 視覚的明確化:重要な材料とそれに関連のある指示をさらに強調する(目立つ色にするなど)

 

具体的には、写真に示すように

  • 「今日は○ページ~○ページまでやる!」と自分に対して付箋などに書いて視覚的に指示を出します。勉強を始める前に書いても良いし、夜寝る前に次の日の自分に指示(指令)を出しても良いです。
  • 筆記用具やテキストなどを置く位置を決めておきます。筆記用具であれば入れ物、テキストであれば付箋などの印をつけておくと視覚的にわかりやすいです。
  • 「ここで絶対勉強する!」という場所を強調するようにランチョンマットを敷きます。あまりに色が濃すぎる、柄が強すぎると気が散りますが、勉強するぞ!という強い意思を示すものなので、ある程度強調した色・柄が良いです。布製のランチョンマットよりもプラスチック製の方が下敷き代わりにもなります。

 

前回のコラム「1本のシャープペンシルを買いに行くだけで、勉強に集中できるようになります!」の時と同様に、本当にこんなことで勉強できるようになる?と思うかもしれませんが、ぜひ試してみてください!そのコラムでも言いましたが、勉強できないのはあなたのせいではなく、「環境」のせいです。あなたをその気にさせない「環境」が悪いのです。だから、あなたをその気にさせる「環境」を『視覚的構造化』で作ってみましょう!

100円ショップでもなかなか良い柄のランチョンマットがありますので、まずは、勉強の意思を強く示せそうな柄のランチョンマットを買いに行ってみませんか?

 

<参考文献>ノースカロライナ大学医学部精神科TEACCH部 編(服巻繁 訳):見える形でわかりやすく TEACCHにおける視覚的構造化と自立課題.エンパワメント研究所,2004

 

発達領域のリハビリテーションに興味のある方は、ぜひ当校のオープンキャンパスにもご参加してみてくださいね。
「こども」×「リハビリ」遊び感覚で!!こどもと一緒にできるリハビリをやってみよう

関連学科

作業療法士科【4年制】
対象:高校卒業以上の方

人の心と身体に寄り添うリハビリのプロを目指す!

詳細はこちら

コラム:カテゴリー

作業療法士

コラム:タグ

作業療法士勉強法自宅学習視覚資格

この記事をシェアする

カテゴリー