1本のシャープペンシルを買いに行くだけで、勉強に集中できるようになります! ~発達領域の作業療法から学ぶ必勝勉強法~
「勉強しなきゃいけないのはわかってるのに集中できない!」「スマホゲームに夢中になり過ぎて、勉強する時間がない!」「何から手をつければいいかわからない!」などなど、勉強に対する悩みは多かれ少なかれ誰もが持っていると思います。元々の学習習慣がないと、なかなか新たに学習習慣を身につけることは難しいです。毎日コツコツやればいいと言われても、簡単にそうはうまくいかないことが多いのではないでしょうか。
そんな学習習慣がなかなか身につかない、勉強が苦手な人には、発達障害の子どもたちに対する療育にヒントがあります。発達障害の子どもたちもずっと座って勉強をし続けることは苦手なことが多いです。そんな子どもたちに勉強の仕方を教えるとき、以下のことを教えます。
①勉強する机を決めてまっすぐ座る
②勉強する時間を決める
③筆記具などの文房具を自分で選ぶ
④課題も自分で選ぶ
⑤課題が終わったら必ず好きなことを一つする
それぞれもう少し具体的にどうするか解説します。
①ご飯を食べるところ、好きなことをするところ、勉強をするところ、寝るところはそれぞれ分けた方が良いです。
できれば、勉強する机のまわりには集中を妨げるものがない方が望ましいです。TVに背を向けて座るなど、座る位置を変えるだけでも良いかもしれません。お家の環境でやむを得ない場合もありますが、同じテーブルを使うとしても、勉強するときはテーブルの上には勉強に関連するものだけを載せて、他の物は片づけましょう!まずは勉強する場所を確保してみませんか?
②勉強する時間は、まずは10分で良いです。
10分で課題が終わらないようなら、5分休憩してもう10分。調子が良いからと言ってその時だけ時間を延ばしたりせずに、きっちり10分守って集中する。そしてしっかり休憩する。もし集中できる時間が延ばせそうなら15分にしてみる等、少しずつ時間を延ばしてみましょう。でもまずは10分集中できれば良いと思います。
③お気に入りの文房具を使いましょう。
書ければ何でも同じ、と思うかもしれませんが、シャープペンシル一つにちょっとだけこだわってみませんか?こだわるものはノートでも消しゴムでもペンケースでも構いません。これだけでも集中力が変わってくると思いますよ。買うとしたら、あなたはデザインにこだわりますか?機能性にこだわりますか?
④課題は勝手に出されていることが多いとは思いますが、どこから手を付けるかは自由です。
課題によっては順序良くやらないと駄目なものもありますが、好きな順番でやってみると意外と集中できますよ。中には、苦手な事ばかりかもしれませんが、どこからでもいいので始めてみましょう。いつの間にか課題が終わっていることもあると思いますよ。
⑤好きな事やお楽しみは取っておいて、課題が終わったら存分に楽しみましょう。
せっかく集中して勉強できたのに、今日は調子がいいからお楽しみなしでもいいや、なんて言わずに遠慮なく好きなことを楽しんでください!スマホゲームも良し、スイーツも良し、寝るも良しです。これが次の集中につながるのです。
これまで勉強に集中できなかったのはあなたのせいではありません。「環境」のせいです。ちょっとした「環境」を整えるだけで、勉強に対する集中力は格段に変わってくるはずです。ここでいう「環境」とは机などの物理的なものだけでなく、時間的なものや、お楽しみの時間も入れたスケジュールなど、自分の周りのあらゆるものを含みます。「環境」を変えることで勉強に対する集中力を高めることは、脳科学に基づいた方法の一つです。5つ全て一気に変えなくても、1つずつでも良いので「環境」を変えてみましょう!まずは、文房具屋さんでお気に入りのシャープペンシルでも買いに行きませんか?
本当にこんなことで勉強に集中できるの?、どうせ何やっても変わらない!なんて言わずに一度チャレンジしてみてください。
小泉 雄一 先生
作業療法士として、身体障害(急性期・回復期・慢性期)、老年期障害(老健・デイケア・訪問)精神障害(デイケア)、発達障害(療育センター・民間療育機関)、専門学校非常勤講師(作業療法治療学)を経て、2019年3月 東京福祉専門学校に入職。
座右の銘:人事を尽くして天命を待つ