コラム

育てにくいこどもの育て方〜親の育て方が全てじゃない〜

「どうしても怒ってしまう」

こどもと接していると、つい感情的になってしまうなんてことはありませんか?

「何度言ったらわかるの!」

「どうしてそんなことも出来ないの!」

「どうしていつも準備ができてないの!」

「早く自立して!いつまで親にこんなことを言わせるの!」

お子さんの年齢が13歳以上であれば、親子喧嘩になるかもしれないですね。

親の育て方だけで、子どもの全てがきまるわけではない。それを子育て経験のない方や、育てやすいお子さんをお持ちの親に知っていただきたいです。

 

目次

<こどもとの接し方>

  • こどもの言動にイライラする
  • 本当は心配している
  • 親だって、普通の人
  • 相談できる人が必要です

 

・こどもの言動にイライラする

「子育て」というのは、本当に大変です。自分とは違う別の人格を持つ人が自由に行動するのですから、親だからというだけでコントロールできるとは限りません。

特に、親と性格が違うお子さんやお子さんの個性によりこだわりが強かったり、食べ物の好き嫌いが強かったり等、「子育ての悩み」となりやすい部分に個性が強くみられると子どもとの接し方に悩みを持つのではないでしょうか。

子育てを研究する専門家が分類する時は、「手のかからない子(easy Child)」、「時間のかかる子(slow-to-warm up child)」そして、「育てにくい子(difficult child)」等に分類して、育てにくさの原因についても研究されています。つまり、「親の育て方が悪い」「しつけがなってない」と判断するだけではありません。

一番、身近で大切な人にほど、期待をしていますし愛情もあるのでイライラするという感情は起こりやすいとも言えます。

「イライラする」ということ自体は全く問題はありません。ただ、自分がイライラするという感情を抑え込んだり、隠したり、我慢してしまうと発見が遅れたり、原因を探すことができなくなってしまいます。

・本当は心配している

イライラするという感情の本質は、先ほども述べましたが、「信頼したい相手」「期待している相手」「愛情を感じている相手」に起こりやすい感情です。お子さんに対してイライラするというのは、その場の一時的な感情で自分のせいだと自分一人で反省して、その感情を隠してしまうと本質を見失ってしまいます。

・将来を心配してお子さんに強い感情を持ったのでは?

・自分の親としての自信を失いかけているのでは?

・他者に迷惑をかけてしまったことに申し訳なくて持った感情なのでは?

・同じようなことが繰り返されているので、不安が強くなったからでは?

等、1つではなく複雑に色々な背景があってのことかもしれません。

「心配している」だから、なんとか「その言動をやめさせたい」と考えて「強くしかりつける」「何度も言い聞かせる」「罰を与える」等の行動をとる親もおられます。それで解決すれば、このような対応は1度か2度で済みますので、悩みとはならないのではないでしょうか?

 

・親だって普通の人

「子どもの言動にイライラする」これは親として普通の事。まずはその感情が起こることを自分で認める事が大切です。親も普通の人ですから、子育ての本に書いてある、「強く叱ってはいけない」「子どもを否定するようなことを言ってはいけない」等に縛られて、自分の気持ちをちゃんと出せなくなることもあると思います。しかし、それはよくありません。

一般的な子育ての本は、「手のかからない子」の一般的な発達段階を基準に作成された子どもへの接し方で、全ての子育てに対応しているとは言えない部分もあります。少し工夫が必要な場合もあります。

・イライラすることが他の親と比べて多い気がする

・うちの子は、他の子よりも親の言うことを聴かない気がする

・子どもに、なんと言えばいいのかわからなくなってきた

等を感じておられたら、別の接し方が必要なのかもしれません。「育てにくい」お子さんかもしれないからです。

・相談できる人が必要です。

親も普通の人ですから、自分の子どもにイライラするのは当たり前ですし、上手く育てられないなと感じることも普通です。誰もが持つ悩みと言えるかもしれません。

ただ、誰もが持つ悩みよりも、少し悩む時間が多い、悩みがどうもそう単純ではないと感じることがあれば、ぜひ他の誰かに相談してみて下さい。

地域の子育て相談でも構いません。小児科のお医者さんでもいいかもしれません。保育園や幼稚園の先生でもいいかもしれません。少し愚痴を聞いてもらような気持ちで、お話してみるとヒントを頂けることも多くあります。

このような人たちは、子育ての専門家で様々なお子さんを見ておられるので、「親の育て方が悪い」と決めつけたり、お子さんを問題児扱いして終わってしまうということはありません。もし、そんな対応を受けたら、別の専門家のその事実も一緒に相談してください。残念ですが、お子さんの事を知っているその人が、本当の専門家ではなかったということです。

「どうしても怒ってしまう」という自分を隠さずに、子そだてにイライラするのは何が原因なのか、本質をしっかり見つけるためにも是非、他の誰かに相談してください。

 

本校のキャリアデザイン科にご入学される18歳以上のお子さんに対しても、「今も親子喧嘩が絶えません」と子育ての悩みをお聞きすることが良くあります。

お子さんも、親の悪口を言います。「わかってくれない」「すぐに怒るので、相談できない」「親は自分のことを面倒くさいと思っているんだ」等様々ですが、親なら当たり前に指摘することを普通におっしゃっているだけのことが多くあります。お子さんの「親の言葉の捉え方」が少し偏ってしまっているからだと思います。

それは、幼い頃の親に対応が原因のようです。できるだけ、早くに対応方法を変えれば、お子さんにイライラする、怒ってしまう日々からも抜け出せるはずです。

 

子育てに悩む時間よりも、「子どもがかわいい」「子どもといるだけで幸せだ」と感じる時間が多くなることを願っています。

 

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この記事を書いた人

山岸 有里 先生

精神保健福祉士・臨床心理士・公認心理師の資格をもち、本校学生相談室を担当しながら心理カウンセラー科の講師も担当する。

座右の銘:未来の自分にとって優しい選択をする

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