コラム

作業療法士資格の合格率と年収について

作業療法士の給与について

作業療法士は、厚生労働省の国家試験に合格して登録することで資格を得られます。
医療機関で働く場合も、福祉事業所で働く場合も、診療報酬や介護報酬等の国が定めた収入体系の中で給与が支払われますから、毎年の変動はそう大きくありません。つまり、気に左右されることなく、作業療法士は安定した収入が見込まれるということです。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のカテゴリー平均では年収が令和2年度で約419万円(33.9歳)となっています。また、令和元年になりますが、作業療法士を含む医療福祉サービス業の初任給は大卒で20.6万円、短大や専門学校卒で18.9万円となっています。

出身校の年限(3年制と4年制)によって給与に違いはある?

作業療法士になるための養成施設には、4年制大学と3年制の短期大学、3年制または4年制の専門学校が混在しています。

しかし、作業療法士の資格としての待遇の差はありません。同じ資格で働きますので、その後の区分も基本的にはありません。差が出るのは、大学卒かどうか、また修業年限が3年か4年か、という条件の部分です。これは、雇用する側の考え方にもよりますので、雇用する機関によって若干の違いが見られます。3年と4年では養成施設で学ぶ期間が1年間違いますが、この差をどうとらえるかで学校をどう選ぶかのポイントになるかと思います。なお、昼間課程と夜間課程を終えたかどうかでの待遇の差も、基本的にはありません。

他の仕事との違いは?

他の産業と比べると、医療福祉の仕事は、収入が低く感じることがあります。筆者の時代でも、他の学部に進学した同期がとても高い給料を得ていることを知り、うらやましく思ったことがありました。しかし、景気は変化するものですから、いい時も悪い時もあります。その後、景気が極端に悪くなった時でも、医療福祉の仕事で雇用状況が悪くなったことは一度もありませんが、当時高い給料をもらっていた同期の中には、退職や転職しなければならなかった人も少なからずいました。資格を持って働くということは、目先の給料や休日だけではなく、長い目で見る将来性という視点も大切なのだということがわかります。

理学療法士と作業療法士

よく比較される対象に、理学療法士という仕事があります。

理学療法士は作業療法士と同時に生まれた資格で、「理学療法士及び作業療法士法」という法律で一緒に規定されています。法律では仕事内容が定められていて、理学療法を「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること」を指し、作業療法は「身体及び精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行わせること」を指しています。

理学療法士の数は2021年で約19万人、作業療法士は2020年で約9万4千人となっています。国家試験の合格率は、2022年で79.6%であり、作業療法士は80.5%でした。どちらも例年80%前後で推移しています。言語聴覚士で70%前後、社会福祉士では30%前後と言われていますので、比較的合格率は高めです。これは、国家試験という性格上、上位○○名まで合格という競争試験ではなく、基準点を超えれば全員合格となるからです。そのため、一人で学習するよりはグループになって、全員で合格を目指すということが可能になっています。ここでも、よく作業療法士の資質として求められる、協調性のある人やコミュニケーションの豊かな人などが、作業療法士に向いていると思います。コロナ禍で外国との行き来が少なくなりましたが、東京にも少しずつ外国からのお客様の姿が戻ってきました。英語など外国語でのコミュニケーションができるということも、これからは必要なことになっていくと思います。

そして、大事なことですが、8割の学生が合格しているということは、入学してしっかりと学校のカリキュラムに沿って努力すれば、国家試験には合格できるということです。国家試験というと合格が難しいのではないかと思ってしまう人もいるでしょうが、そんな心配ばかりしていては前に進みません。目標をしっかり立てて、それに向かって努力すれば8割は合格するということなのです。

就職に関して言えば、求人数自体、今のところそれほど心配されるような状況ではありません。よっぽど細かい条件がなければ、作業療法士としての業務ができる場所に就職しています。そして、作業療法士が求められている場所はどんどん広がっています。就職先として確立するのはもう少し先になっても、きっと作業療法士が活躍できる領域は増えています。社会が変化しているように、作業療法士が仕事をする場所もこれから変化していくことでしょう。障害領域では、身体も精神も関わることができるのは強みです。保健や教育領域でも、生活行為にかかわる作業療法士はどのような形でもかかわることができる仕事です。

ぜひ一度、この不思議な、作業療法士という世界をのぞいてみてください。

東京福祉専門学校の作業療法士科についてくわしく知りたい方はこちら
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