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介護福祉士の国家試験の変更について(2026年最新版)

新しい制度の導入が発表されました

2025年(令和7年)5月27日、厚生労働省から「介護福祉士国家試験におけるパート合格(合格パートの受験免除)の導入について」が発表されました。これは何かと簡単に言うと、これまで年1回実施されてきた介護福祉士国家試験において、受験科目をパートに分け、その実績をもとに次年度以降の受験者の学習のしやすさ等と、受験しやすい仕組みとするというものです。

この制度は2026(令和8)年1月25日実施の第38回介護福祉士国家試験から導入されます。しかし第38回は初年度なので、受験者全員はこれまで通り全125問の国家試験を受験する事になります。2027(令和9)年以降は、その状況に合わせた受験となります。

では、なぜこのような制度が導入されることになったのか、具体的にはどのような制度なのかを確認していきましょう。

なぜ制度が導入されたのでしょう

厚生労働省の発表では、つぎのような事が説明されています。背景として、高い専門性を有する介護職員が必要であるが、近年受験者が減少傾向にあるということです。詳しくみていくと、我が国において少子高齢化は続いており、介護を必要とする方々の増加が見込まれ、2040年までには新たに約57万人の介護職員が必要であるとされています。さらに、介護を必要とする方々の状況は多様化・複雑化しているので、高い専門性のある介護職員の確保が必要であるとされていますので、国家試験に合格した介護福祉士が必要となります。しかし、介護福祉士国家試験を受験する者は、第31回 試験以降減少傾向にあります。このままの状態が続くと、質の高い介護サービスを提供することへの支障が生じることが心配されます。 そこで、介護福祉士をめざす者にとって国家試験受験のための学習への取り組みやすさ、受験者の利便性の2つの側面から考えたものであるとされています。

次に介護福祉士国家試験を受験するための方法を説明します。大きく分類して、介護福祉士養成校を卒業するルート(以下養成校ルート)と、実務経験3年に加えて所定の研修を受講して受験するルート(以下実務経験ルート)があります。現在、介護福祉士の国家試験受験者の約8割以上が実務経験ルートとの事です。実務経験ルートの受験者は介護現場で働きながら資格取得を目指す状況にあります。そのことは就労と試験にむけた学習の両立が課題としてあるとされています。

さらに、2017(平成29)年から外国人介護人材の受入れが段階的に拡充されてきました。外国人介護職種には4つのルート(表1)がありますが、「在留資格介護」(介護福祉士養成校卒業、実務経験ルート+研修後、介護福祉士国家試験受験、合格者)は、在留期間の制限なく日本で就労でき、家族の帯同も認められています。そのため、「技能実習」「特定技能」で入国した方々の中には、介護福祉士国家試験を受験する方々も多くなっています。一般に外国人の国家試験の合格率は日本人を含めた全体の合格率よりも低い傾向にあります。介護福祉士国家試験に合格しない場合は、各々の制度で日本にいる期間は限られることになります。限られた受験機会の中で国家試験合格に向けた就労と学習の両立には課題があるとされています。今回のパート合格導入は、日本の介護福祉現場で働くことに意味を感じているが、国家試験に合格するのが難しい、働きながら学ぶことは大変という外国人介護職種の方々の感じる障壁を低くする事も可能になります。

表1 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」から引用

受験科目から見る今の試験内容とパート合格制度の内容へ

先にお伝えしたように、受験科目をパートに分けるとはどのような事かというと。今までは4つの領域から各科目が出題され、午前には3つの領域にかかる問題63問、午後は1つの領域と総合問題の62問の出題、合計125問の出題がされていました。今回は、学習内容の重なりを考慮し科目群を同一パートとしています。

国家試験当日の午前はAパート(60問)、午後はB・Cパート(65問)の受験となります。科目としての負担感は、従来と大きな変化はありません。

受験方法について

初回受験時は、全パートを受験する事が必要になります。次回以降の受験時には、既に合格済みのパートを含めた全パート受験、又は不合格パートのみを受験するかを、受験者が選択することになります。初回受験時にAパートを合格していれば、次年度は合格していないB・Cパートの勉強に専念することができます。ここでの負担感は軽減されますね。

パート合格の有効期間と合格基準

パート合格の有効期限は、試験年を含め3年まで有効となっています。

但し、前にもお伝えしたように、次年度の受験時に、全受験なのかパート別合格を選べますので、2年目の受験時に全受験を選択した場合、合格パートがある場合は、そこが0年になるので、そこから3年目まで受験免除の有効期間になります。

合格基準は、全パート受験の場合、問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数、11科目群全てにおいて得点が必要になります。パート別の場合、全体の合格基準を全パートを受験した者の平均得点の比率で按分した点数、各パートを構成する科目群全てにおいて得点。とされています。どちらが得になると考えるものではなく、これまで通りにすべてに得点科目があることが望まれるので、学びの目標が大きく変わる事ではないと考えられます。

 

その他の資格の国家試験の内容について

他の資格の国家試験の内容と比較してみましょう。

 

歯科衛生士

解答はマークシートによる選択式の出題のみで、面接や小論文、技術試験などはありません。試験科目は、「人体の構造と機能」や「歯・口腔の構造と機能」、「歯科衛生士概論」、「歯科予防処置論」など9科目あり、実際に働くために必要な知識が220問にわたり幅広く出題されます。なお、合格基準は6割以上の成果が必要となります。
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視能訓練士

視能訓練士の国家試験の内容は、午前と午後に分かれます。午前の試験問題は75問で、基礎医学大要と基礎視能矯正学から出題されます。解答方法はマークシートで、5択の選択問題です。午後の試験問題も午前と同様に75問出題され、出題内容は視能障害学や視能訓練学、視能検査学などから出題されます。これらは令和4年度の試験内容のため、受験する年によっては試験内容が異なる可能性があります。国家試験の合格は、正答率6割以上が必要です。
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登録販売者

登録販売者になるには、各都道府県ごとに実施される登録販売者試験に合格することが必要です。店舗で働くには、試験合格後に勤務先の都道府県で「販売従事登録」を行わなければなりません。また、店舗管理のできる登録販売者になるには実務経験(業務経験)が2年以上必要です。
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受験者にとっては良いことなの

そもそもこの制度自体は、受験者のことを考えて創設されたものですから、不利になることは無いと考えてよいでしょう。但し、考えて見てください、最終全パートに合格しなくては、介護福祉士ではありません。最初の試験で合格するのか、最長3年を使って合格するのか、人それぞれの心の負担感は大きく異なると思います。また、最初からパートで受験する事ができない制度です。あくまでも最初の受験は全パート受験で、結果から次年度以降の受験時の希望が始まります。1年目で合格を目指す方が、負担は少ないと考えられませんか。

では、養成校ルート、実務者ルート、どちらで受験するのが良いかを見ていきましょう。時間的にいえば養成校ルートの方が早く受験の機会が生まれます。また4年制大学の場合受験の機会は長く必要になりますが、多くの大学では福祉系国家資格ダブル資格を目指しています。費用負担はどうでしょう。実務ルートの場合は働くことが前提ですから、お給料が入ります。養成校ルートでは望めない事です。ここまではほぼ互角ですね。ではまた受験という視点で見てみましょう、養成校ルートは学びが中心であり、介護教員からの専門的なアドバイスも受けやすい環境にあります。実務ルートでは、介護業務が中心ですから、働く現場に介護福祉士が多くいるのか否か。受験に対しての指導力がある職員がいるか否かは現場によって異なる環境です。実務ルートは養成校ルートの良さを超える環境にはないと考えられます。養成校ルートでは、就業することで大きく変わる環境を一人で乗り切る事は難しいという現状をよく理解しています。だから最終学年では、合格できる力を高めるような支援をしています。学びの成果を出すための教育です。ではどちらを選ぶのかは、あなた自身の選択になりますね。

【引用・参考資料】

001493957.pdf

介護福祉士国家試験におけるパート合格(合格パートの 受験免除)の導入について 厚生労働省社会・援護局 福祉基盤課福祉人材確保対策

 

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国家資格:介護福祉士

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