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児童相談所と児童福祉司の仕事

2025年夏、フジテレビで放送中の月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』が話題を集めています。物語の舞台は、とある海辺の町にある児童相談所。主人公の夏井翼(福原遥)は、元刑事という異色の経歴を持ちながら、突然この児童相談所に異動となり、児童福祉司として子どもや家族と向き合う日々を描いています。
このドラマを通じて、「児童相談所ってどんな場所?」「児童福祉司ってどんな仕事をしているの?」という興味を持った方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、ドラマの描写を交えながら、児童福祉司の仕事、1日の流れ、連携する人たち、そして児童福祉司になるまでの道のりを解説していきます。

■ 児童相談所とは

児童相談所(通称:児相)は、虐待や育児放棄、非行など、子どもに関するあらゆる相談や支援を担う行政機関です。全国の都道府県および一部の政令指定都市に設置されており、専門職がチームで子どもとその家庭を支えています。
ドラマ『明日はもっと、いい日になる』でも、主人公の翼が配属された児童相談所では、日々多くの電話や相談が舞い込み、職員たちが慌ただしく動き回る様子がリアルに描かれています。

■ 児童福祉司の仕事内容

児童相談所の中で中心的な役割を担うのが児童福祉司です。主な業務は、虐待通報などの相談対応、子どもや保護者との面談、一時保護の判断、家庭訪問、支援計画の作成と実施、関係機関との連携など多岐にわたります。
たとえば、ドラマでは「子どもの泣き声がする」という匿名通報を受け、翼と先輩の蔵田(林遣都)が家庭訪問を行います。現場では子どもの足にあざを見つけるものの、蔵田は「児相は親を裁く場所ではなく、子どもを守るための場所だ」と翼に伝え、冷静に状況を見極めながら慎重に対応します。このように、ただ子どもを保護するだけでなく、背景にある家庭の事情や保護者の困難を理解し、必要な支援へとつなげていくのが児童福祉司の重要な役割です。

■ 児童福祉司のある1日

児童福祉司の1日は多忙を極めます。以下は一般的な1日の例です。
8:30 出勤・朝のミーティング
9:00 前日の対応状況を整理し、今日の訪問先を確認
10:00 家庭訪問(通報案件の初期対応や定期支援)
12:00 昼休憩
13:00 子どもとの面談・保護者支援のケース会議
15:00 関係機関との連携・報告書作成 17:00 明日の予定調整・緊急案件の整理
18:00 退勤(当番制で夜間対応がある日も)
実際の児童相談所では、夜間や休日でも緊急対応が必要なケースがあり、職員は交代で当番に入ります。ドラマの中でも「電話が鳴り止まない」というセリフがたびたび登場し、職場の緊迫感が伝わってきます。

■ 児童福祉司と連携する人たち

児童福祉司は決して一人で子どもを支えるわけではありません。職場内外に多くの連携先があり、チームで子どもの福祉を守っていきます。
【児童相談所内の専門職】
• 児童心理司:心理検査やカウンセリングを通じて子どもの心の状態を把握
• 保育士:一時保護所での生活支援や日常のケアを担当
• 医師・看護師:健康状態の確認や診断
【外部の関係機関】
• 学校や保育園:子どもの様子の情報提供
• 警察:緊急時の対応や事件性の確認
• 地域包括支援センターや福祉事務所:生活全般の支援
• 弁護士:法的支援や親権に関する手続き
ドラマでは、翼の元上司である刑事との連携場面も描かれ、警察との情報共有の重要性が強調されています。また、一時保護所で働く保育士たちの温かい支援も印象的で、現場が「子ども中心」で動いていることがわかります。

■ 児童福祉司になるには?

児童福祉司になるためには、基本的に以下の流れをたどります。
1. 社会福祉士など、一定の専門資格を取得
2. 都道府県や政令指定都市などの地方自治体に公務員として採用
3. 採用後、児童福祉司としての指定研修を受講し、任命を受ける
「社会福祉士の資格があれば児童福祉司になれる」という認識がありますが、正確には社会福祉士の資格を持っていると児童福祉司になるための要件を満たしているということになります。実際には自治体への採用試験に合格し、職員として働きながら必要な研修を修了する必要があります。
東京福祉専門学校では、社会福祉士の国家資格取得を目指すカリキュラムが整備されており、卒業後に児童福祉司やスクールソーシャルワーカー、医療ソーシャルワーカーなど、さまざまな福祉の現場で活躍できる道が開かれています。

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■ まとめ

ドラマ『明日はもっと、いい日になる』では、「家庭の中で起きていることは外からは見えにくい」「その中で子どもたちは必死にSOSを出している」という現実が丁寧に描かれています。児童福祉司は、その小さなSOSに気づき、必要な支援につなげる専門職です。
社会福祉士を目指す方にとって、児童相談所という現場は決して遠い存在ではありません。制度や知識だけでなく、相手の立場に立って考え、寄り添う力が求められます。
ドラマをきっかけに、「誰かの人生を変える仕事がしたい」と思った方は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。あなたのその一歩が、明日をもっと、いい日にするかもしれません。

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社会福祉科 4年制【高度専門士】

高校卒業以上

国家資格:社会福祉士・精神保健福祉士

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