福祉の今後の未来とシニア世代の活躍時代
みなさんは「2025年問題」という言葉を耳にしたことはありますか?
「2025年問題」とは、戦後すぐの第一次ベビーブーム(1947年~1949年)の時に生まれた、いわゆる"団塊の世代"が後期高齢者(75歳)の年齢に達し、医療や介護などの社会保障費の急増が懸念される問題を指します。 2025年には後期高齢者人口が約2,200万人に膨れ上がり、国民の4人に1人が75歳以上になるという、今までに経験したことのない「超・超高齢社会」が訪れることを指しています。
さらに今は「2040年問題」という言葉が聞かれ始めています。2040年に、日本の人口は約1億1000万人になり、1.5人の現役世代(生産年齢人口)が1人の高齢世代を支えるかたちになるのです。(国立社会保障・人口問題研究所、2017年推計、出生率・死亡率中位仮定)このことからこれからの日本を待ち受ける将来がますます深刻になっている状況が考えられます。
待ち受ける日本の未来は闇!?
そのような状況からか、テレビやインターネットでは、日々今後の日本の未来予測から待ち受ける介護問題、社会保障の課題など、様々なニュースが取り上げられています。少子化、高齢化、就労困難、不景気による貧困化…そのような暗いニュースが多く見受けられ福祉分野に進もうとする若者が少なり、ますます人材難になるといった「負のスパイラル」が今の日本の状況なのではと捉えている方が多いのではないでしょうか。。
しかし、そんなに今の日本はそんな暗闇に突進してしまっておりません。
社会福祉分野では今、様々な取り組みや施策を通し「シニア世代」に期待しているのです。
少子化に伴う人口減少において、今の日本の法律、施策や計画は「シニア世代」の活用を様々な分野で支援しています。たとえば、定年後又は早期退職後の「第二の人生」として起業に対する支援を国自治体がサポートしているのです。また、起業まではいかなくとも労働人口の高齢者割合は年々増加しており、国民生活基礎調査(総務省)令和元年版調査結果によると、各種世帯の「所得構成割合」の高齢者世帯を見ると、2015年時の統計では平均64万円から72万円と増加しており、毎年増加傾向となっています。シニア世代の方は今までの社会権や職業経験から様々な知識を取得しており、そういった強みを活かして働くことで、収入目的ではない役割・生きがいの目的として就労している方も年々多くなっています。
「シニア」を対象としたビジネス展開はもはや市場の中心
こうしていままでは定年後で現役世代からの卒業といった役割交代、から、シニア世代を対象とした企画などが良く目にするようになりませんか?つまり、今の経済の市場では、シニア世代をあえてターゲットにした商品やサービスが多くなってきたのも事実です。
厚生労働省では、2040年までに健康寿命を3年以上延伸するという研究報告書を公表しました。(「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」2019年)その研究会では、「誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現を目指す」という目標を基に、3つの課題を柱として推進していくことになり、シニア世代の活躍を国、地方自治体をはじめ、地域、企業、住民を巻き込んで様々なイベントや、支援制度が進んでいるのです。
拠出:第1回2040年を展望した社会保障・働き方改革本部 資料より
今後の高齢者支援のありかた
介護保険制度もその流れを受け、少しずつ変化しています。今までは「サービスを受ける」ことを主軸にしてきたサービス提供中心のあり方であったものが、できる限り要支援・要介護状態にならない、重度化しないよう介護予防を重視したシステムの確立を目指した方針がなされています。
「受け手」だけではなく「担い手」として地域で貢献することで役割や生きがいにつながり健康である続けることを狙いとしているのです。
具体的には、例えば一つの例として介護サービス事業所が、若年性認知症の方を中心に、介護サービスの提供時間中に、介護サービス利用者が地域住民と交流したり、公園の清掃活動等の地域活動や洗車等外部の企業等と連携した有償ボランティアなどの社会参加活動(以下「社会参加活動等」という。)に参加できるよう取り組んでいる事例などに対し、通所介護としての介護保険の報酬算定が可能とのことを通達したのです。
(注:ケアプランに沿っての通所介護計画書に社会参加活動が位置付けられている等、様々な要件があります)
拠出:厚生労働省老健局 通達(平成30年7月27日 vol669)より
このような、活動を通して今までサービスを受けるだけにとどまらず、要介護状態になったとしても生き生きと自身の望む生活に近づけるためにどんな「暮らし」をしたらいいか、利用者自ら選択することが可能となってきているのです。
今の時代に求められるソーシャルワーカー
そんな時代に、どんなソーシャルワーカーが求められてくるのでしょう。
今の高齢者は、戦後の高度成長期に日本の経済の骨幹を支えた先人者です。様々な知識、技術、言語、趣味を経験された方たちがターゲットです。様々な経験を通し、一人ひとりの人生の充実を経験されてきた方々であります。実際私も、高齢者施設のソーシャルワーカーをしていた時、現役の時にはロケットの設計に携わっていた利用者様がいました。
支援をしていくことで必要なことは、支援(サービス)ありきで考えないということです。そのような時代を経験し、仕事を通して今の日本の経済をつくり上げた方に対し、今まで同様なコミュニケーションで、金太郎飴のような画一的なサービスを展開していくことが、今まで頑張ってこられてきた方に対しての適切な関わりのでしょう。
時代の変連とともにそこで「暮らしてきた」人たちに興味をもち、どのような状態・状況であっても「自分らしい生活をあきらめない」支援をする。そのために必要なことは、一人ひとり、一つひとつのコミュニケーションを大切にする。
これに尽きるのではないでしょうか。
そんなソーシャルワーカーの軸を常に持ち続けたいと思っています。