コラム

作業療法士は資格が必要?受験資格や資格取得までのルートを紹介

作業療法士になるためには資格が必要ですが、試験内容や資格取得までのルートを知らない方は多いです。効率よく資格取得を目指すためにも、事前に作業療法士になる方法について知っておくことが重要です。
そこで今回は、作業療法士の資格取得までについて解説します。試験内容や合格率など試験の詳細を紹介するため、作業療法士を目指している方はぜひ参考にしてください。

目次

作業療法士に必要な資格とは?

作業療法士の受験資格を得る方法

養成施設で学ぶ具体的な内容

作業療法士の国家試験と受験資格について

作業療法士の資格取得後の就職率

作業療法士の資格取得後のキャリアプラン

まとめ

 

作業療法士に必要な資格とは?

作業療法士として働くためには、国家資格の取得が必須です。作業療法士の国家試験に合格しなければ、資格を取得できず、仕事に就くことはできません。
国家試験は年に1回、毎年2月下旬に実施され、マークシート方式で出題されます。一度不合格になると、翌年まで再受験できないため、一発合格を目指して計画的に学習することが重要です。作業療法士の国家試験は、合格率が比較的高めですが、誰でも受験できるわけではありません。受験するには指定の養成校(大学・専門学校)を修了し、受験資格を取得する必要があります。独学では目指せない資格なので、進学先の選択も慎重に行いましょう。

作業療法士の受験資格を得る方法

作業療法士の受験資格を得る方法は、主に3つあります。一つ目の方法は、文部科学大臣もしくは厚生労働大臣が指定している養成施設に3年間もしくは4年間通い、定められた科目を履修する方法です。
二つ目の方法は、作業療法士になるための大学に4年間通いカリキュラムを履修する方法です。三つ目の方法は、海外にある作業療法士の学校を卒業し、海外で作業療法士の資格を取得する方法です。
学校では知識だけを学ぶのではなく、技術も習得します。人間の生活などの基礎的なことから、作業療法評価額などの専門分野まで幅広く習得できます。カリキュラムとしては、作業療法や解剖学、運動学などさまざまです。厚生労働省が習得すべきカリキュラムを定めており、受験資格を得るためにはそれらのカリキュラムを履修しなければなりません。

作業療法士の養成校の学費

作業療法士の学費は、学校により異なります。国公立の4年制大学では250万円~270万円程度、私立の4年制大学では550万円~750万円程度です。3年制の専門学校では400万円~550万円、4年制の専門学校では500万円~650万円ほどです。短期大学では400万円~500万円程度学費がかかります。
夜間コースに進学すると、上記の学費よりも安くなる傾向があります。また、学校が地方なのか都市部にあるかにより費用が変わるケースもあります。学費だけでなく、下宿費用や交通費、教科書代、実習費などを総合的にみて判断するのが望ましいです。

養成施設で学ぶ具体的な内容

大学や専門学校、短期大学などで学ぶべき勉強内容は共通しています。厚生労働省は、作業療法士になるための必要なカリキュラムを2020年4月に新しく改正しました。もともとは93単位以上の履修が必要でしたが、新しく改正してからは101単位以上と必要単位数が増加しています。
また、養成施設では大きく分けると基礎分野と専門分野、専門基礎分野の3つに分かれます。ここでは、それぞれの必要な単位数や内容について解説します。

基礎教育科目

基礎教育科目では、14単位取得する必要があります。基礎分野では、人間の基本的な生活のことから作業療法士としての資質や能力を高めるための学習を行います。ほかには患者のプライバシーを守るための授業や情報収集能力、課題解決力を身につける内容を学びます。

専門基礎科目

専門基礎分野では、30単位を履修する必要があります。専門基礎科目では、疾病と障害の成り立ちや人間の構造と機能および心身の発達、人体の回復過程の促進、リハビリテーションの理念、保健医療福祉などを学びます。
専門基礎科目では臨床医学などを学ぶため、患者が社会生活に復帰するための考え方などを身につけられます。作業療法士として必要な現場でのサポートも学べます。

専門科目

専門分野では、57単位を履修する必要があります。作業療法士としての技術を身につけるために、基礎作業療法学や作業療法評価学、臨床実習などを通じて即戦力を学びます。臨床実習では22単位(990時間)履修する必要があり、現場で働くためにはかかせない授業です。
学校で学ぶだけでなく、外部の医療機関などでの実習も行います。外部の医療機関で実習を経験することで、作業療法士としての資質も学べます。

作業療法士の国家試験と受験資格について

作業療法士の国家試験を受験するには、上記で解説したとおり受験資格を満たす必要があります。

【試験概要】

試験日や試験場所、試験内容など作業療法士の国家試験について、ここでは具体的に解説します。しかし、年度により情報が新しく更新されることがあるため、最新の情報を調べてください。ここでは、2023年の情報をもとに作業療法士の試験について紹介します。

試験日

試験日は毎年、2月の下旬ごろに実施されます。2023年度では、2月19日(日曜日)に筆記試験、2月20日(月曜日)に口述試験および実技試験が実施されました。口述試験および実技試験は、重度視力障害者に対して筆記試験の代わりに行う試験です。したがって、多くの方は筆記試験を受験することになります。

試験地

2023年度の作業療法士の試験会場は、東京都、北海道、宮城県、大阪府、愛知県、香川県、福岡県、沖縄県で行われました。ご自身の住んでいるところで実施されていない場合は、受験会場まで足を運ぶ必要があります。
筆記試験は上記の会場で実施されますが、口述試験および実技試験については東京都のみでしか実施していません。

試験科目・試験方法

筆記試験を受ける方の試験はマークシート形式で行われ、以下の試験科目から出題されます。

試験科目

  • 人体の構造と機能および心身の発達
  • 疾病と障害の成り立ちおよび回復過程の促進
  • 保健医療福祉とリハビリテーションの理念
  • 基礎作業療法学
  • 作業療法管理学
  • 作業療法評価額
  • 作業療法治療学
  • 地域作業療法学
  • 臨床実習

大きく分けると上記の内容から出題されます。人体の構造と機能および心身の発達の分野では、解剖学や生理学、運動学、人間発達学などに細かく分けられます。試験科目でみると出題範囲が広いため、まんべんなく勉強を進める必要があります。

受験手続き

2023年度の作業療法士の受験手続では、2022年12月14日(水曜日)~2023年1月4日(水曜日)が提出期間でした。提出期間は年度により異なるため、最新の情報を確認して提出する必要があります。
2年前までは新型コロナ感染症対策のため、郵送での手続きが推奨されていました。しかし、現在では直接持ち込んで提出することも可能です。また、国家試験運営臨時事務所において受験書類を提出する際は、直接持ち込む場合のみ受付可能です。
受験票を直接持参する場合の受付時間は決められています。受験受付日程の午前9時~午前12時、午後1時~午後5時までが提出できる時間です。郵送で提出する際は書留郵便で送付することが決められており、受付日の最終日の消印が期限です。

受験手数料

2023年度の作業療法士の受験手数料は10,100円でした。願書に収入印紙を貼り付けて納付する形式であり、願書を受理されたら返金はされないため確認が必要です。収入印紙に関しては消印しないことが記載されています。

受験に必要な書類

受験に必要な書類は、願書や証明写真、返信用封筒です。受験する際には必ず提出する必要があります。そのほかには、修業証明書や修業見込み証明書、卒業証明書や卒業見込み証明書などが必要です。
写真や返信用封筒には、サイズの規定が設けられています。写真は願書を提出する6か月前に撮影したものであり、縦6cm、横4cmのものに限ります。裏面に生年月日、および指名を記載して貼りつけなければいけません。
返信用封筒のサイズは、縦23.5cm、横12cmのもので表面に郵便番号および宛先を記載する必要があり、書留で郵送しなければなりません。

合格発表日・発表方法

2023年度の作業療法士の合格発表日は、2023年3月23日(木曜日)午後2時に発表されました。発表方法は、厚生労働省の公式ホームページに受験番号および合格者の受験地が掲載されます。

【試験の難易度】

試験の難易度は、それほど難しくはありません。学校で習った範囲をきちんと対策すると合格できる試験といえます。試験対策としては、過去問を繰り返し解くことが重要です。過去問に似た問題が出題されることもあり、本番の試験までに繰り返し解いて理解しておく必要があります。

【受験者数・合格率】

2023年の作業療法士の合格率は83.3%でした。8割の方が合格できる試験なため、国家試験のなかでは比較的易しい試験といえます。きちんと対策すると合格を目指せる試験です。直近の5年間の合格率をみても、2019年度を除き合格率が80%を超えています。

【資格取得後の手続き】

国家試験に合格すると、作業療法士の免許を申請できます。作業療法士の申請書類に必要事項を記載して、住所地の管轄する保健所に提出します。申請書以外にも、診断書や住民票の写し、登録済証明書用はがきなどの準備が必要です。必要書類を提出して問題がなければ、2~3か月後に免許証が住所地に届きます。

作業療法士の資格取得後の就職率

作業療法士は、資格取得後の就職率が日本作業療法士協会のデータによると100%といわれています。就職率が高く、活躍の幅が広いのが特徴的です。

作業療法士の資格取得後のキャリアプラン

作業療法士の資格を取得してからは、向上心をもって仕事に励む必要があります。スキルや経験があると年収アップも目指すことが可能なため、キャリアプランをイメージしておくのが望ましいです。
専門性を高めると、作業療法士としての需要が高まります。作業療法士の関連する資格はいくつかあるため、より上位の資格取得を目指すと仕事のやりがいも増えるでしょう。向上心のある方は作業療法士のスペシャリストである、認定作業療法士や専門作業療法士の資格取得がおすすめです。
作業療法士の資格だけでなく、理学療法士や介護支援専門員などの資格を取得し、ダブルライセンスとして働く方法もあります。企業によりダブルライセンスを所持する方を募集しているケースもあるため、採用で有利になる場合があります。
作業療法士になるには、どのような職場で働きたいかを事前に調べておくことが重要です。作業療法士としての働き方は多岐にわたるため、事前に調べておかないとご自身の希望する職場に就職できない場合があります。雇用条件などをしっかり調べて、就職活動を進めることが大切です。

まとめ

今回は、作業療法士の資格について解説しました。作業療法士の受験資格を得るためには、厚生労働省が指定している養成学校に通う必要があるため、独学では目指せません。資格取得のルートも複数あり、学校の通学年数や学べる内容などを比較して学校を選ぶのが望ましいです。作業療法士の受験概要をきちんと理解して、国家試験合格を目指しましょう。

 

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