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スクールソーシャルワーカーの業務内容とは?不登校児童の支援事例も紹介

【はじめに】

日本の教育現場は、今大きな転換期を迎えています。不登校児童・生徒の増加、家庭環境の複雑化、貧困や虐待など、学校内だけでは解決できない問題が山積しています。こうした背景のなか、近年注目を集めているのが「スクールソーシャルワーカー」という存在です。

しかし、スクールソーシャルワーカーという職業について、まだ十分に社会に認知されているとは言えません。また、似た職種として「スクールカウンセラー」もありますが、両者の違いについて正確に理解している人は少ないのが現状です。

本コラムでは、スクールソーシャルワーカーの役割や業務内容、スクールカウンセラーとの違い、そしてその重要性について解説します。

【スクールソーシャルワーカーとは何か】

スクールソーシャルワーカーとは、教育と福祉の専門知識をもとに、学校に関わる子どもたちが抱える様々な困難に対して支援を行う専門職です。文部科学省の定義によれば、スクールソーシャルワーカーは、「学校における福祉的支援の専門家」であり、家庭や地域との連携を通じて、教育の場での問題を包括的に解決する役割を担っています。

【なぜ今、スクールソーシャルワーカーが必要なのか】

日本国内で不登校の児童生徒数は年々増加傾向にあります。文部科学省の「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、小・中学校における不登校の児童生徒数は約30万人を超え、過去最多を記録しました。その背景には、いじめ、家庭内の不和、貧困、発達障害、親の精神的・身体的疾患など、多岐にわたる要因が存在します。

これらの問題は、学校内部だけでは対応が難しいものが多く、教育と福祉の連携が求められています。ここにスクールソーシャルワーカーの必要性があるのです。学校と家庭、地域、関係機関をつなぐコーディネーターとして、子ども一人ひとりの「学ぶ権利」を守るための支援が求められています。

【スクールソーシャルワーカーの主な業務内容】

スクールソーシャルワーカーの業務は非常に多岐にわたります。代表的な内容は以下の通りです。

  1. 子どもや保護者への相談支援
  2. 家庭訪問や保護者との面談
  3. 教職員への助言・支援
  4. 福祉機関・医療機関との連携
  5. 地域資源の活用とネットワークづくり
  6. ケース会議への出席・助言
  7. 問題のある生徒への継続的な支援

【不登校児童の支援事例】

例えば、中学2年生の男子生徒A君は、家庭内でのネグレクトと経済的困窮を背景に、半年以上学校に通えていませんでした。担任教諭は教育的支援の限界を感じ、スクールソーシャルワーカーに相談。スクールソーシャルワーカーは家庭訪問を行い、母親がうつ病を患っており、生活保護も未受給であることを確認しました。

スクールソーシャルワーカーは市の福祉事務所と連携して生活保護の申請を支援し、さらに子ども食堂や学習支援ボランティアとの橋渡しを行いました。A君はその後、段階的にフリースクールに通うようになり、現在は週3日学校にも登校するようになっています。このように、教育の枠組みだけでは対応が難しいケースに、スクールソーシャルワーカーが介入することで、子どもの未来を大きく変えることが可能になるのです。

【スクールカウンセラーとの違い】

スクールカウンセラー(School Counselor)は、主に心理的な側面から児童生徒を支援する専門職です。臨床心理士や公認心理師などの資格を有し、カウンセリングを通して子どもの心の問題に対応します。

一方、スクールソーシャルワーカーは、家庭や社会的背景を含めた広い視点から支援を行います。生活困窮、虐待、家庭内暴力(DV)など、心理的な支援だけでは解決が難しい問題について、関係機関と連携しながら包括的に対応します。

つまり、スクールカウンセラーが「心の専門家」であるのに対し、スクールソーシャルワーカーは「生活と社会の専門家」と言えるでしょう。両者が連携することで、より多面的な支援が可能となり、子どもにとって最善の環境を整えることができます。

【社会福祉士との関係】

スクールソーシャルワーカーは、多くの場合「社会福祉士」の資格を有しています。社会福祉士は、法律・制度・福祉サービスに関する高度な知識をもち、相談支援の専門職として活躍します。教育現場において、社会福祉士としての専門性が、家庭や社会背景への介入に大きな強みとなるのです。

そのため、今後さらにスクールソーシャルワーカーの質を高めていくうえでも、社会福祉士の養成機関での学びが非常に重要になります。

 

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【おわりに】

スクールソーシャルワーカーの活躍は、学校という枠を超えて、家庭や地域社会全体の課題解決に貢献する重要な取り組みです。社会福祉士の専門性を活かして、教育現場で子どもたちの未来を支えるこの仕事には、大きなやりがいと社会的意義があります。

私たちの専門学校では、こうした実践的かつ多職種連携が求められる現場で活躍できる社会福祉士の育成に力を入れています。スクールソーシャルワーカーという職種に興味を持たれた方は、ぜひ私たちの学校で学び、未来の子どもたちの力になってみませんか。

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