社会福祉士に生活保護の相談ってしてもいいの?
「最近、なんでもかんでも高くなった気がする…」
「スーパーで食材を買うだけでお財布が空っぽ…」
こんな言葉を家族から聞いたことがありませんか?
実際、日本ではこの数年で物価が大きく上がりました。食品、光熱費、ガソリン代…生活に欠かせないものほど値上がりし、家計を直撃しています。特にひとり親家庭や高齢者世帯、障害のある方など、もともと経済的に厳しい状況にあった人々にとっては、今の状況は“生活の危機”そのものです。
では、こうしたときに誰が支えになるのでしょうか?
そのひとりが「社会福祉士」です。社会福祉士は、生活に困っている人に寄り添い、解決の道筋を一緒に探していく“福祉の専門職”です。
今回は、「物価高で生活が苦しい」という現実を社会福祉士の視点で見つめながら、その仕事の内容と役割についてわかりやすく紹介していきます。
物価高ってどれくらい深刻?
2022年から急激に上がり始めた物価。たとえば、以前は100円で買えていたパンが120円に、1リットル100円の牛乳が150円に…と、生活に必要な品が少しずつ、しかし確実に高くなっています。さらに電気代・ガス代などの光熱費、家賃、保険料なども上がっており、節約だけではどうにもならない世帯が増えています。
実際、厚生労働省や自治体が実施した調査では、「生活が苦しい」と感じる世帯の割合は年々増加。特に、年収が少ない世帯ほど影響が大きく、働いても生活が成り立たない「ワーキングプア」や、親の介護や子育てで働けず収入が減った家庭などが困窮しています。
生活に困ったとき、まずどうする?
「もう限界。ご飯もまともに食べられない」
「家賃が払えない、電気が止まりそう」
こうした状況に陥ったとき、多くの人は誰にも相談できず、ギリギリまで我慢してしまいます。けれど、福祉の制度には“助ける仕組み”が用意されています。生活保護、住居確保給付金、子ども食堂、生活困窮者自立支援制度など、困っている人を支える制度やサービスはたくさんあるのです。
でも、「どこに相談すればいいかわからない」「制度の使い方が複雑で理解できない」と感じる人も多いのが現実です。ここで登場するのが「社会福祉士」です。
社会福祉士とは?どんな仕事?
社会福祉士は、1987年に国家資格として制度化された「福祉の専門職」です。
簡単に言うと、「困っている人の話を聴き、必要な支援や制度につなげる仕事」をしています。
社会福祉士が活躍する場は、福祉事務所、病院、地域包括支援センター、障害者支援施設、子ども家庭支援センター、学校など多岐にわたります。さまざまな生活上の困りごとを抱えた人たちに対して、
- じっくり話を聴く
- 何が必要か一緒に考える
- 制度や支援サービスを紹介する
- 他の専門職と連携して支える
- 問題の根本にある課題にアプローチする
といった支援を行います。
物価高で生活が苦しい…そんなとき社会福祉士は?
たとえば、あるひとり親家庭。母親は非正規で働いていましたが、物価の上昇と勤務先の人員削減で収入が激減。家賃の支払いが難しくなり、子どもには満足に食事を与えることができません。そんなとき、学校の先生から紹介された地域の「自立相談支援機関」に相談に行きました。
そこにいたのが、社会福祉士です。
社会福祉士はまず、丁寧に母親の話を聴き、「どうして困っているのか」「どこに支援が必要か」を整理します。次に、利用できる制度やサービスを提案します。たとえば、
- 一時的な家賃支援(住居確保給付金)
- 食料支援(フードバンク、子ども食堂)
- 就労支援(職業訓練や履歴書の書き方指導)
- 必要であれば生活保護の申請支援
などを紹介し、各支援先とつないでいきます。
支援は一度きりではありません。必要に応じて定期的に面談を重ね、状況が改善するまで寄り添い続けます。社会福祉士の関わりによって、母親は新たな職場で安定的に働けるようになり、子どもも落ち着いた生活を取り戻しました。
社会福祉士が大切にしている視点
社会福祉士の支援の基本には「自己決定の尊重」「利用者主体」「包括的支援」といった理念があります。つまり、相手の考えを大切にしながら、その人が自分の力で生活を立て直せるように支えていくのです。
また、「生活が苦しいのは、その人の努力不足」ではなく、「社会の仕組みや環境にも原因がある」と捉えるのが社会福祉士の視点です。単にお金を渡すのではなく、根本的な生活改善に向けたサポートを行います。
社会福祉士という仕事を知ってほしい
今の社会は、ひとりで生きていくにはあまりに複雑で困難です。貧困、虐待、介護、障害、孤独…。誰もがいつ困るかわかりません。
そんな中で、誰かの“生きる力”を支え、社会の中で共に暮らせる道を探すのが社会福祉士の仕事です。困っている人に「話してよかった」「生きててよかった」と感じてもらえる瞬間に立ち会える、やりがいのある仕事です。
物価高騰という身近な問題からもわかるように、社会福祉士の必要性はますます高まっています。皆さんの中に、「誰かの力になりたい」と思っている人がいたら、ぜひ社会福祉士という仕事を知ってください。
まとめ
物価高は、今まさに私たちの生活に大きな影響を与えています。そんなとき、制度や支援を「届ける存在」として、社会福祉士が活躍しています。
社会福祉士は、「人の暮らしを支えるプロフェッショナル」です。これからの社会にとって、ますます重要な役割を担うことは間違いありません。
苦しんでいる誰かの隣に立ち、共に考え、共に進む。
それが、社会福祉士の仕事です。
社会福祉士を目指せる東京福祉専門学校の社会福祉科では、
社会福祉士になるための学びはもちろん、児童分野・医療分野・高齢分野・障害分野それぞれに特化した学びを提供しています。
少しでも「誰かのためになりたい」そんな想いがある方は、ぜひ東京福祉専門学校の社会福祉科で一緒に社会福祉士を目指しましょう。