高齢者施設で活躍する社会福祉士と介護福祉士の違いとは?
「福祉の仕事」と聞いて、どんな仕事を思い浮かべますか?
多くの高校生が「お年寄りのお世話をする仕事」と答えます。たしかにそれは福祉の大事な一面。でも、福祉の仕事は「身体のケア」だけではありません。「こころの支え」「生活のしくみづくり」など、もっと広く深く、いろいろな役割があります。
このコラムでは、「高齢者施設」を舞台に、社会福祉士と介護福祉士という2つの福祉専門職の仕事のちがいを、1日の流れややりがいなども交えて紹介していきます。
そもそも「社会福祉士」と「介護福祉士」って?
介護福祉士とは
介護福祉士は、日常生活に支援が必要な高齢者や身体的または精神的に障害のある方に対して、食事・入浴・排せつ・移動などの介助を行う介護の専門職です。
介護福祉士は国家資格であり、専門知識と技術をもって「生活のサポート」をする仕事です。主に介護施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービスセンターなど)、訪問介護事業所、障害者施設、医療機関など幅広い分野で活躍しています。
社会福祉士とは
社会福祉士は、身体的、精神的、または環境上の理由で生活上の困りごとや不安を抱える人と、その家族の相談にのり、制度や福祉サービスを使って「よりよい生活ができるよう支援する」専門職です。
介護福祉士と同じく国家資格で、福祉分野の「相談援助の専門家」として、高齢者施設、障害者福祉施設、病院、学校、役所、福祉事務所など、さまざまな場所で活躍しています。
高齢者施設での「社会福祉士」と「介護福祉士」の仕事のちがい
舞台は特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(特養)は、介護を必要とする高齢者が安心して長期的に暮らすことができる、公的な介護施設です。ここでは介護福祉士と社会福祉士がチームになって入居者の暮らしを支えています。
それでは1日の仕事の流れを見てみましょう。
介護福祉士の1日(例)
時間 | 内容 |
7:00 | 出勤・申し送り(夜勤スタッフからの情報共有) |
7:30 | 起床介助、洗面、トイレ介助 |
8:00 | 朝食の介助・服薬確認 |
9:00 | 入浴介助(交代で入浴支援) |
11:30 | 昼食準備・食事介助 |
12:30 | 昼休憩(1時間) |
13:30 | 居室の整頓、シーツ交換など |
14:00 | レクリエーション(体操、ゲームなど) |
15:00 | おやつ介助・トイレ誘導 |
15:30 | 記録の記入・夜勤スタッフへの申し送り準備 |
16:00 | 退勤 |
特徴:
- 直接的に「体を支える仕事」
- 利用者さんと毎日じかに接する
- 体力が求められるが、やりがいは大きい
社会福祉士の1日(例)
時間 | 内容 |
8:30 | 出勤・チームミーティング |
9:00 | 家族との面談・相談 |
10:00 | 新規入所希望者の見学対応 |
11:00 | 地域のケアマネジャーとの連携会議 |
12:00 | 昼休憩 |
13:00 | 入居者の個別支援計画の作成 |
14:00 | 利用者の生活相談(不安や希望の聴き取り) |
15:30 | 行政との連絡(介護保険制度の確認など) |
16:30 | 記録、書類整理、家族への報告など |
17:30 | 退勤 |
特徴:
- 「制度やしくみを使って支える仕事」
- 書類作成や面談など、デスクワークも多い
- 福祉の「コーディネーター」として活躍
こんな時に違いが見える!
ケース①:利用者が落ち込んで食事を拒否している
- 介護福祉士:まず食事の介助に入り、食べるよう優しく声をかけたり、好物を用意したりして工夫する。
- 社会福祉士:背景にある理由(家族との関係、生活の不安など)を聴き出し、心理的な支援や、必要なら外部の専門機関と連携。
ケース②:家族が「もう家では介護できない」と相談に来た
- 介護福祉士:直接対応することは少ないが、日々の生活の様子や利用者の状態を記録し、報告する。
- 社会福祉士:本人・家族の意思を確認しながら、施設入所や介護保険サービスの利用を提案し、手続きを支援する。
「社会福祉士」と「介護福祉士」のやりがいのちがい
介護福祉士のやりがい
- 「ありがとう」「あなたがいると安心」と言ってもらえる
- 利用者と信頼関係を築ける
- 目に見える成長や変化がある
- 利用者との関りで喜びや感動を分かち合える
社会福祉士のやりがい
- 相談者の人生に深く関われる
- 家族や地域と連携し、暮らし全体を支える実感がある
- 「制度のしくみ」を知り、それを使って問題を解決できる
- 様々な分野で活躍できる
「社会福祉士」と「介護福祉士」どっちの仕事が自分に向いてる?
介護福祉士向きな人
- 体を動かすのが好き
- 人とじかに関わりたい
- 利用者の笑顔や感謝が励みになる
- 人と関わるのが好き
社会福祉士向きな人
- 話を聴くのが得意
- 人の悩みや不安に寄り添いたい
- 社会のしくみや制度に興味がある
- チームプレイが得意な人
おわりに
福祉の仕事は「介護」だけじゃありません。
そして、社会福祉士は「人の人生に寄り添う相談職」です。
介護福祉士と社会福祉士、それぞれに大切な役割があり、どちらが上・下ではありません。チームで支え合いながら、一人ひとりの「その人らしい生活」を支える。そんな仕事が福祉にはあります。
東京福祉専門学校の社会福祉科では、社会福祉士として必要な知識や技術はもちろん、実際の現場での経験を通じて「人と関わる力」を育てる教育が行われています。1年生から現場に出て、利用者の声を聴き、地域とつながりながら学ぶカリキュラムは、教科書だけでは得られない“リアルな福祉”を実感させてくれます。
また、福祉の現場を知り尽くした先生たちが、資格取得から就職までを丁寧にサポートしてくれるのも大きな魅力です。進路に不安がある人も、一人ひとりのペースに合わせてしっかり導いてくれるので安心して学ぶことができます。
「誰かの役に立ちたい」「悩んでいる人を支えたい」――その気持ちがあれば、あなたも社会福祉士を目指すことができます。東京福祉専門学校で、自分の「やりたい」を確かな未来につなげてみませんか?